不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

そんなに働いてたかよ

ホリエモンTwitterブラック企業について『嫌だと思ったら辞めればいいのでは?辞めるの自由よん』と発言したことで、ケンケンガクガク議論が白熱しているらしい。

私はホリエモンの意見に、基本的に賛成。働く人がいなくなれば、そんな企業は消滅しちゃう。買う人がいなければ、その商品がなくなってしまうのと同じだ。
でも、そう簡単には仕事を辞められない。ホリエモンは起業すればいいと言っているそうだけど、そんなこと誰にでも出来ることじゃない。
今日仕事を辞めたら、この先お金が入ってこなくなる。次の就職が見つからなければ、どんどん条件の悪いところに行くしかない。学校を卒業して、非正規で仕事を始めた人は、なかなか正規雇用の枠に入れてもらえないという恐怖と同種のもの。
そういうことを感じないで、辞める自由だけ言っても、そりゃあ反発受けるし、有益な意見でもないよな。


だけど、ホリエモン的な起業家は、そんなに仕事をしてきたんだろうか。ホリエモンは違うけど日本で起業家を多く排出してきたのは、リクルートという会社だ。逆にリクルートが、なぜそんなに起業家を排出してきたかというと、そういう風土、スピリットがあるからだと本などには書かれている。
私の見方はちょっと違っていて、リクルートは基本的に東大閥。それ以外の人たちは出世できず、また多くの人は非正規雇用だった。たぶんほとんどが契約社員やアルバイトなどで成り立たせた会社としては、もっとも古いと思う。マネジメントに心理学を応用しているからモチベーションが高く維持できると、公言していた会社だ。この会社が、新卒や中途市場を牛耳っていたんだから、日本のサービス業などで、急速に非正規雇用のノウハウが広まった。
正規雇用でも、東大閥だから、それ以外の人たちが出世することは難しく、また社内的にも新規事業の提案ができるようになっていたことなどから、「そこそこ出来る人は独立して当然」みたいな空気があったんだろうと思う。


リクルートから出た有名人って、けっこういる。その中でも有名なリクルートコスモス出身でゆうせんの二代目社長を例にとると、この人はインテリジェンスという会社を、リクルートグループ内の何人かと立ち上げた。このインテリジェンスという会社は、深夜0時を回ると、役員の高級外車がビルの前にずらっと並ぶと言われていた。深夜残業するスタッフを、送って行くためだ。
私はこれを中の人や、取引関係のある会社の人から聞いて、こりゃあダメだと思った。今なら完全にブラック認定されるだろうけど、当時はモーレツな会社として評価されてた。だけど役員たちは、自分が深夜に運転してスタッフを送って行けるほどタフなのか、それとも昼間仕事をしていないのか、どっちだろう。や、仕事という言い方が良くない。何かしらの作業をカリカリやってたりするんだろうか。たぶん会議や営業交渉みたいなことはいっぱいしているだろうけど、ワークというようなイメージの仕事ではないんだと思う。体力的にヘトヘトなら、深夜に送って行くことは、ちょっと無理じゃない? 感謝してるから送っていくのよ、というイメージを作りたいんだろう。


なんで、こんなことを書いたかというと、最近、ちきりんさんという有名ブロガーが、<円満離婚に向かう「政治と若者」>という記事を書いていた。私、ちきりんさんという人は、どちらかというと え? と思う部類に入る人だけど、さすがにスルドイ。
以下抜粋。
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政党というのはホントによく“市場=有権者を見てる”ってことです。

たとえば、日本維新の会が公認するアントニオ猪木氏に、自民党が公認する渡邉美樹氏(ワタミグループ創業者)やオリンピック金メダリスト(体操)の塚原光男氏・・・

若い人はこれらの候補者を見ると、「なんなんだ!?」と呆れたり失望したり、(ちょっとマジメな人になると)本気で憤ったりするのかもしれません。

しかしこれは各政党が、「誰が選挙に行くのか」、「選挙に行く人の琴線に触れる候補者とは誰なのか」、すんごくよく考えた結果なのです。

(中略)

ワタミグループの創業者、渡邉美樹氏も、主にネットメディアから情報を得ている人たちにとっては、「社員に長時間労働を強いるひどい経営者」というイメージかもしれません。

でも、投票率の高い年代の人たちの多くは、「若い頃は死ぬほど働くもんだ。そんなことに文句を言うなんて、最近の若い者はなっとらん」と思ってます。
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まさに、その通り。投票してくれる人が大切で、その人たちのニーズに合わせてる。保守というのは、需要に合わせてるから、保守。野党は理念を掲げてるけど、その理念が、投票してくれる人のニーズと合っているのかどうか。
ドライに言えば、そういうことだろう。
安倍さんも、第一次内閣の時は、消えた年金問題を最後の一人までと言っていたけど、今の内閣では忘れちゃったみたいだ。今、年金をもらってる高齢者は、そんなこと問題にしないから、どうでもいいわけで。これから先の年金問題をどうにかしましょうと言ってたら、高齢者の年金を削るしかない。ということよね。


高度成長期を支えてきた団塊の世代。この人たちの時代は週休1日だし、めちゃくちゃ働いたと思う。だから、ちきりんさんのいう“「若い頃は死ぬほど働くもんだ。そんなことに文句を言うなんて、最近の若い者はなっとらん」と思ってます。”は的を得てる見方だと思う。
でも私が言いたいのは、あんたたち、本当にそんなに働いてきたかということ。
高度成長期には、ケータイもモバイル端末どころかインターネットもない。外へ出てしまえば、電話連絡を入れない限り、つかまらない。自由だ。
会議や接待、つきあいもいっぱいしてきたでしょう。会社は家族だから、上司の家にも行って、自分の家庭を顧みなかったでしょう。根回し、社内営業も、きっといっぱい。でも、それって、今の時代は仕事と認められる?
スピードがまったく違う。生産性につながらないことを、仕事として判断してくれる?
つまり仕事にかかわっている時間が長いだけで、ほとんどが生産性とは無関係なことを、仕事だと考えてるのよね。

今、管理職の人たちって、部下に飲ませて、それでなんとかまとめあげよう、ガス抜きしようとする人たちって、どれぐらいいるだろうか。今の時代、マネジメントだけしている部長って、どれぐらい存在する? そんなこと言ってるのは許認可事業で、行政と密接な関係のある会社だけでしょう。多くはプレイングマネジャーだ。高度成長期の管理職とも、バブル時代の管理職とも、まったく違う。
「若い頃は死ぬほど働くもんだ。そんなことに文句を言うなんて、最近の若い者はなっとらん」と言ったって、その中身とスピードが、まったく違うのよ。たぶん、あなたたちが若い時にやってたのは、部下をクルマで送って行ってガス抜きしてたのと似たようなことで、居酒屋で長時間労働することじゃない。


高齢者もおっさんも、そこのところを理解してないと、イタイ人どころか、社会のお荷物よ。
そんなことを言う人は誰もいなさそうだから、若い時からずっと、死ぬほど仕事してる私が書いときました。
いや、こんなこと書いて、遊んでますけど(笑)


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