廃人をつくる依存症ビジネスは、最強最悪なの?
iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、
フェイスブック、アングリーバード、オンラインポルノ……
私たちは、なぜこうも簡単に「病みつき」になるのか?
もはや病気ではない。
最強最悪のビジネスモデルである。
帯には、そう書いてある。
『依存症ビジネス - 「廃人」製造社会の真実』という本を読んだ。
著者は、18歳から32歳までアルコール依存症に陥っていた元『カソリック・ヘラルド』紙編集長なんだそうだ。
確かに、現代は依存症にさせることが最強のビジネスモデルになっている。私も、そう思う。依存症的じゃない消費は不安定で、移り気な消費者はすぐ別の店や商品に行ってしまう。
著者は「すぐに気分を良くしてくれるもの」=フィックスはなんであれ依存の対象になり得るというけれども、最悪のビジネスモデルを考えて依存を生み出したんじゃなくて、資本主義社会の当然の帰結なんじゃないのと思う。
ああー、アイスクリームが食べたい。夜中の2時にそう思っても、開いてるコンビニがある。ちょっと遠いけど、クルマを飛ばせばすぐだ。
あ、現金がないや。クレジットカードを使う? まさかね。でもSuicaがあるから大丈夫だ。
これって利便性を考えて、いろんな商品やサービスが作られたから生まれたんじゃないの。
ゲームは難し過ぎると流行らない。カンタン過ぎると、ワクワクしない。だから適度な難易度でクリアできて、次のステージに行けるようにチューニングされている。
これって売るための当たり前のプロセスなんじゃないの。
ネットショッピングしたい。ネットで売りたい。なら、客にストレスかけちゃいけない。少ないクリック数で決済までしなきゃ、途中でよそに行かれてしまう。
パソコン立ち上げるのは面倒だ。だったらスマホでいつでも買えるようにしよう。電車の中でだって、買えるよね。ベンリだわ。
これってストレスかけないとか、客に寄り添うとか、そんな当然の発想で競争してるだけなんじゃないの。
悪いですか?
いや、私はあんまり好きじゃない。便利過ぎると、何かを失うか、何かが衰えたり悪化したりする。そんなこと言っても、毎日コンビに行くけど(笑)
会社出て3分以内に3つもあるし、通勤で乗り換える駅の途中にはコンビニがある。うーん
うちのクルマにはバックモニターが付いて便利だけど、付いてないクルマを運転してバックさせると、かなりヘタクソになった自分に愕然とする。
iPhoneでいつでもメールがチェックできるから、365日24時間仕事が出来てしまう。いや、読んでないふりして返さないし、何もしないけど、でも仕事のことが頭のどこかに残ってる。月曜日の予定を金曜の深夜に考えてたりとか。あかんでしょう。
だけど私は相手に対して、勤務時間外にメールを送ったりはしない。利用する誰かが過度に依存してしまうような商品に関わったりしたくない。
でも、どんなものにだってハマってしまう人はいる。
依存症を仕掛ける側が悪とは言えないのは、そこ。
問題は、仕掛ける側がわかってて放置しているところだ。
ネット社会になってから、プラットフォームを提供しているだけですから。そこで悪いことをしているのはユーザーで、うちには責任ありません。
という理屈が、平気でまかり通ってしまうこと。
学生が、LINEいじめにあうこと。ソーシャルゲームで自己破産してしまうこと。XVIDEOSで体調をおかしくしてしまうこと(笑) どれも依存がベースにある。
成人はどんなフィックスに中毒になったとしても、自力で、あるいはなんらかの手段で抜け出さなきゃいけない。便利過ぎる世の中になったのが、禁止されてしまったら息苦しい。自分でセーブするのが当たり前だ。
でも未成年者は、別だわ。供給側の責任。
ああー、18歳成人ねぇ。
この本には、トヨタのアメリカ人広報担当役員が麻薬取締法違反で逮捕されたバイコディンという鎮痛剤についても書いてあった。
アメリカでもっともよく処方されている鎮痛剤で、待合室で悲鳴をあげてしまうほどの激痛、ぎっくり腰や、虫歯が巣くった親知らず、末期癌といった症状がもたらす耐えがたい痛みの緩和に処方されるという。
でもあまりに処方され過ぎてるらしい。バイコディンがもたらしてくれるのは鎮痛ばかりではなく、心地よくてうっとりするような幸福感があるらしい。
この話が最も面白かった。だって、まったく知らない話だから。
日本ではドラッグ扱いで違法だけど、こういうのだってTPPが進めば入ってくるかもしれないしね。
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