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不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

安保法制だとハッキリしなくても、武器輸出がヤバイところに進んでる

ゆるいまとめ

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基本、時系列を遡ってみる。

 

経団連、防衛装備庁に要望

今月15日、経団連は「防衛産業政策の実行に向けた提言」をまとめ、10月1日に発足する防衛装備庁に対して〈「適正な予算確保」や人員充実のほか、装備品の調達や生産、輸出の促進を求めた〉という。

そりゃあ集団的自衛権行使容認になれば、さらに強力な武器は必要だ。抑止力というなら、日本で設計製造できる武器が必要だろう。
そこに経団連が、もっとやらせろと焚き付けるのも理解できる。どうせ国内で製造できなければ、アメリカから輸入するだけだ。

と思ったら、さらに前のめりだった。

 

防衛産業政策の実行に向けた提言
2015.09.15
経団連

現状認識では、北朝鮮、中国、ロシアに対する懸念が書いてあって、さらに

米国、欧州(イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スウェーデンNATO北大西洋条約機構)、EU(欧州連合)等)、オーストラリアとの装備品の国際共同開発・生産、東南アジア(フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ASEAN東南アジア諸国連合)等)やインド等への装備品や技術の提供など、諸外国や国際機関との装備・技術協力を推進する必要がある。このため、技術移転の手続の簡素化や、防衛装備品協定や情報保護協定の締結の加速および技術移転の手続の簡素化を図るべきである。

特に、米国との間では、本年4月に改定された日米防衛協力のための指針において、防衛装備・技術協力が日米共同の取り組みの一つとして位置づけられた。米国が、国防費を削減する中で同盟国や友好国との協力を一層重視しており、わが国に適切な対応が求められている。

 

国名が具体的に書いてあって、まるで中国・ロシア vs アメリカ友好国連合の戦争前夜を想定しているようだ。

「防衛装備庁への期待」として

企業が安定的かつ持続的に装備品の開発・生産を行うため、企業の適切な採算・キャッシュフローの確保が求められる。

こうした観点を踏まえ、防衛生産・技術基盤戦略で示された研究開発の拡充、装備・技術協力、契約制度改革、企業と省庁との連携強化を着実に実施すべきである。防衛装備庁の設立にあたり、各項目の担当部局や実施時期を明確化することが求められる。

 

まあ、公共事業だわ。確かに兵器や装備品を作るなら、安定した需要がないと製品としての優位性がでないだろうけど。

 

そう、防衛装備庁が10月に出来る。武器の輸出と輸入を司るそうだ。
日経新聞にこの記事が出たのは、昨年の6月18日。
防衛装備庁、2000人規模で来夏にも発足 開発など一元化

この前提には昨年4月、「武器輸出三原則」を撤廃し「防衛装備移転三原則」に変更したことがある。

 

防衛装備移転三原則って何?

防衛省のサイトから引用する。

防衛装備移転三原則の主な内容
2014.04.01

(1)移転を禁止する場合の明確化(第一原則)
 ①当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②当該移転が国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合、又は③紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国をいう。)への移転となる場合は、防衛装備の海外移転を認めないこととしました。

(2)移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開(第二原則)
 上記(1)以外の場合は、移転を認め得る場合を、①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、又は②我が国の安全保障に資する場合等に限定し、透明性を確保しつつ、厳格審査を行うこととしました。
 また、我が国の安全保障の観点から、特に慎重な検討を要する重要な案件については、国家安全保障会議において審議するものとしました。国家安全保障会議で審議された案件については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)を踏まえ、政府として情報の公開を図ることとしました。

(3)目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保(第三原則)
 上記(2)を満たす防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定しました。具体的には、原則として目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けることとしました。

 

紛争当事国に移転させないとか、目的外使用には日本との事前合意を義務づけるって、そんなの可能なんだろうか。
紛争国が使ってる武器、ゲリラなどの非政府組織が使ってる武器だって、どれも先進国が輸出したものじゃない。直接輸出しなくても、結果としては同じだ。


そしてこのページの最初には“本4月1日、政府は、昨年12月に定められた「国家安全保障戦略」に基づき、防衛装備の海外移転に関して、武器輸出三原則等に代わる新たな原則として、「防衛装備移転三原則」を策定しました。”と書いてある。

 

2013年に定めた「国家安全保障戦略」って何だ?


内閣官房のサイトのPDFに、政府は12月17日、国家安全保障会議及び閣議において国家安全保障に関する基本方針である「国家安全保障戦略」等を決定いたしましたと書いてある。
http://www.cas.go.jp/jp/siryou/131217anzenhoshou/nss-j.pdf


アジア太平洋地域における安全保障環境と課題として、中国の急速な台頭などが書いてあり、グローバルなパワーバランスの変化してると。まあそうだわねと、納得してしまう。多くの人の共通認識だ。
ところが、「我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ」として

 

1我が国の能力・役割の強化・拡大

(1)安定した国際環境創出のための外交の強化
(2)我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築
(3)領域保全に関する取組の強化
(4)海洋安全保障の確保
(5)サイバーセキュリティの強化
(6)国際テロ対策の強化
(7)情報機能の強化
(8)防衛装備・技術協力
(9)宇宙空間の安定的利用の確保及び安全保障分野での活用の推進
(10)技術力の強化

 


とある。2は日米同盟の強化なので、さんざん安保法制関連で情報が出てるので割愛。

 

しかし日本の能力役割の強化拡大って、ここに書いてあることが現実的に可能なの? 
(6)の国際テロ対策の強化だけ見たって「原子力関連施設の安全確保等の国内における国際テロ対策の徹底はもとより、世界各地で活動する在留邦人等の安全を確保するため、民間企業が有する危険情報がより効果的かつ効率的に共有されるような情報交換・協力体制を構築するとともに、平素からの国際テロ情勢に関する分析体制や海外における情報収集能力の強化を進めるなど、国際テロ対策を強化する。」

と書いてあるんだけど、去年ドローンが首相官邸の屋上に落ちてて、1週間も気がつかなかったんだよ。


海外にいる邦人の安全確保をするために、海外における情報収集能力の強化って、これから諜報機関を作るわけ? 
まあまあ、能力のあるなしは別にしても、とんでもない金がかかるわね。

 

(4)海洋安全保障の確保には「特にペルシャ湾及びホルムズ海峡、紅海及びアデン湾からインド洋、マラッカ海峡南シナ海を経て我が国近海に至るシーレーンは、資源・エネルギーの多くを中東地域からの海上輸送に依存している我が国にとって重要であることから、これらのシーレーン沿岸国等の海上保安能力の向上を支援するとともに、我が国と戦略的利害を共有するパートナーとの協力関係を強化する。」と書いてある。


ペルシャ湾から近海までシーレーン全部だって。
これも能力のあるなしは別にしても、とんでもない金がかかるわね。
増税必至だわ。

なんかこれって、最低限、自衛隊大増員と防衛費大増額が前提じゃなきゃ、不可能よね。

 

実はあくまで巡視船だけど、すでにインドネシアには2008年に巡視艇3隻、フィリピンには巡視船10隻(計128億円)を無償で供与。ベトナムには今年中古の巡視船を3隻、さらに昨年には新造巡視船10隻無償供与を発表したそうです。これが約700億円?

 

海賊対策や救難で活躍 日本供与の巡視艇第1号
2014.06.30
じゃかるた新聞

国民的議論もないフィリピンとの「同盟関係」が孕む危険
2015.07.09
ダイヤモンドオンライン

日本の供与巡視船6隻、続々とベトナムに到着
2015.03.15
世界のニュース トトメス5世

 

まあいいや。
ともかくマッチョな「国家安全保障戦略」を実現しようとしたら、とんでもない予算が必要なわけね。その実現の手だてのひとつとしてあるのが、武器輸出ってことでしょう。経団連だけじゃなく、軍需産業で儲けようというのは、アベノミクスの三本目の矢のひとつかもしれないし。

 

実は検索しても続報がないから、その後どうなったのか定かではないけど、政府・与党はイスラエルにも恒常的に武器輸出をしたいみたいだ。いやあイスラエルに武器輸出したら、まずいでしょう。アラブ諸国を敵にしてしまうし、実際問題、当事国じゃないの。


なんか中国・ロシア・北朝鮮に加えて、多くのアラブ諸国まで敵にするなんて、アメリカそのものじゃないの。


理念に「国連憲章遵守」 対イスラエル念頭、政府・与党が最終調整
2014.03.18
産経ニュース

 

だけど日本製の武器なんて、そんなに売れるのか。

経団連のいう「装備品の調達や生産、輸出の促進」って武器そのものじゃなく、例えば経団連会長の東レなら、戦地で着る戦闘服や防弾チョッキ、リュックやバッグなど向けの特殊繊維だって入るだろう。兵站を支える通信や車両、医療機器や医療品でも可能だろう。
それらは後方支援として自衛隊が使うこともできるし、売ることも可能だろう。だけど金額の張る兵器そのものは、実戦で使えるかどうかの検証がなきゃ無理なんじゃない。

 

私の想像だけじゃなくて、清谷信一さんという軍事ジャーナリストが防衛省装備政策課長にインタビューしてる。

日本の防衛産業は鎖国から開国へシフトする
2015.05.23
東洋経済

この中で、日本企業の強みを聞かれて、装備政策課長がこう答えている。

 

一般論だが、日本企業のイメージは品質が高い、サポートがよいなどだろう。だがこれらはあくまで民生品のイメージだ。装備に関しては市場に出してみないとわからない。日本の装備は自衛隊しか使用しておらず、当然ながら実戦の経験がない。また日本の環境に適合するように作られている。はたしてそれが外国で有用かユーザーが決めることだ。ユーザーの要求に合わせることは日本企業の得意とするところだ。


これって装備品のことだけど、それでも実戦の経験がない。市場に出してみないとわからない。ということだ。

 

オーストラリアと潜水艦の協同開発に向けた技術供与をすることが決まっているというけれども、それはたぶん政治的な理由だけなんじゃないだろうか。

ダイヤモンドオンラインにはこんな記事もある。

念願のはずの武器輸出に、当の防衛産業が“冷めている”理由
2015.06.22

この記事によると、科学技術の粋である軍事兵器は、研究開発費だけでもそのコストは莫大。一方で買い手は国しかない。そうそう買える国はないという。

 

今回オーストラリアに技術供与する「そうりゅう型」潜水艦1隻の価格は528億円(2010年度予算)。長時間の潜航を可能とする非大気依存推進(AIP)という新システムを搭載し、通常動力型潜水艦原子力ではない潜水艦)では世界最高と言われる性能を実現しながら、前型である「おやしお型」の価格581億円(1993年度予算)より、約50億円も安くなっている。

 半面、もし諸外国への輸出となれば、この価格以上の金額が設定されるのは当然であるが、500億円以上もする“商品”を購入できる国が、そうあるとも思えない。

さらに兵器市場は縮小しているという

東西冷戦以降、その縮小ぶりは著しい。ニーズそのものが減り、さらに東西問わず各国の良質な中古兵器が出回り新しい装備への支出が減っているためである。 

 

中古兵器出回るって、まさにどこに武器が行くのかわからないってことじゃん。


ただ政府や経団連の意気込みとは裏腹に、それほど大きな産業になりえなさそうだし、国家安全保障上の戦略的アプローチが可能になるほど儲かりそうにもない。
出来るとすれば、画期的な特殊繊維を開発するように、画期的な軍事兵器を開発し、戦争の中で検証し、優秀性を世界にアピールすること。しかしそんな大きな戦争が起こるんだろうか。起こらなければ、起こす側に回ったりしてね。


いや、開発したのに使えない売れない、となればそんな動きが出てきたっておかしくないかも。
冷戦なら冷戦で、とんでもない金がかかるってことよね。

 

間違いなく言えるのは、日本は軍需産業大国になりたがってるってことね。