不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

『限界費用ゼロ社会』を読んで、たらたら書きました

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限界費用ゼロ社会』という本を読みました。

けー、というぐらい難しいのに、なぜだかブログに書く気になりました。なので多々、間違いがあると思います(笑)

 

まずこの本に「モノやサービスの価格が限りなくゼロに近づく」とは、書いてない。似たようなことだけど、「モノやサービスを一つ追加で生み出す費用」、限界費用が限りなくゼロに近づくという内容。

 

 


IoTを始めとするデジタル技術の進歩により、限界費用がゼロに近づく。企業の利益もなくなってきて、今の資本主義が衰退。変わって台頭してくるのが、シェアリングエコノミーという主張。

 

Amazon -  限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭

/ジェレミー・リフキン

 

 

それでそもそもIoTって、なに? 

 

IoTってモノにもIPアドレスが割り振られ、ネットにつないだり相互に通信できるってこと。ほら、今電力の自由化で、東京電力スマートメーターにします。とかって言ってるじゃない。あれあれ。

検針員がメーター見に行かなくても、電力使用量をリアルタイムで把握できるってやつね。まあ確かに、電気を小売りする会社がどんどん増えるなら、リアルタイムで地域全体の使用量を把握できないと困るのかもしれない。

 

 

ゼロに近づくのは、なにより人が介在しないからじゃない?

 

冷蔵庫が通信できると、少なくなってきた牛乳が自動的にAmazonから届いたりするかもしれない。高齢者の世帯が1日冷蔵庫を開けなかったら、親族にメールが行ったり、入っている食材から栄養バランスについてのアドバイスがメーカ-から来るかもしれない。まあまあ、例えばそういうこと。

 

この本の中では、なにかの製品が欲しくなったら設計図をダウンロードして、自宅で3Dプリンターで作れば、限りなく費用はゼロに近づく。みたいな話が書いてあるけど、費用がゼロに近づく最大の理由は、なにより人が介在しないってことだ。
人工知能もロボットの進化も、3Dプリンターなどのメーカーズ革命も、ほぼ人が介在しない。そういう未来だから、そりゃあ安くなるわ。

 

介護だって、完全に人が介在しなくなるかもしれない。人間の仕事から、大変さを軽減するために道具が生まれ、効率化するために機械化され、さらにデジタル技術よって、もしかして人間そのものが不要になる?


ホリエモンのように「結婚はコスパが悪い」という人もいる。結婚を経済効率で考えるんだ、とビックリするけど、コストで考える人は増えているのかも。
そうすると結婚で出てくることを機能別に分解し、マシーンやらデジタル技術で「人間いらず」を追求し、コスト効率を追求する人だって増えるだろう。寂しさだって、おしゃべりロボットが解消してくれるかもしれない。ま確かに、同じ人間相手に何年も何十年も、仲良くしゃべるのは難しいけど(笑)


というようなことは、今まさに起こっていることだ。だから安倍総理や日銀がデフレ脱却とか言ったところで、インフレになるわけがない。仕事も恋愛も、人間は機械とコスパ競争をしてるんだから。

 

 

衰退する資本主義、台頭する共有型経済?


そうやって資本主義が衰退しつつある中で、台頭してくるのがシェアリングエコノミーだという。これも確かに、日本では都市部を中心に、そして若者中心にクルマが売れず、シェアカーみたいなことが出てきてるから、大きな所有したいニーズは衰退しつつあるんだろう。

民泊とかUberとかも、シェアだわね。

だけど台頭してるってレベルのニーズや規模なんだろうか。シェアは、もったいないと思う気持ちや所得の減少が主な原因なんじゃないだろうか。

豊洲や武蔵小杉のタワーマンション買う人は、強烈な所有欲だと思うんだけど。いやこれも転売目的のコスパの追求かもしれないけどね。

 

日本で資本主義経済 vs 共有型経済って構図は当てはまるだろうか


この本で間違いないのは「コミュニケーション、エネルギー、輸送という3つの分野でのイノベーションが経済的発展に寄与してきた」というところ。それらがデジタル革命でさらに低下するのも間違いないと思う。

 

著者が言いたいことは、日本語版特別章「岐路に立つ日本」を読めば端的に分かる。ドイツはメルケル首相になってからIoTインフラにチカラを入れ、エネルギーのグリーン化を推進している。
一方、日本は中途半端。化石燃料原子力という20世紀のエネルギーを推進してるじゃん。遅れてるわという。
あーそうそう。資本主義の根幹は、私的所有。共有はとりあえず私的所有ではないということなんだから、対立する概念ではあるけど。でもね、シェアだって会計上は誰かが、あるいは複数が所有してるわけだし。

それに資本主義対共有型経済なんていう構図で日本を考えることはできないのよ。

日本は、いわば老人型社会主義経済。老人の意見が政治を左右し、旧来の大企業が政策に乗っかる。だから一部上場企業は、ほぼ潰れないし、違法なことしても潰されない。西洋型の資本主義国ならバンバン潰れるからね。

表面的な何々主義なんていうのは、ほとんど意味のないこと。

 

人の、いわばIoT化だってどんどん進む

 

アマゾンの倉庫で働く人たちは、IoT化されてるみたいなもんだ。そんなこと書いてたらキリがないけど、非所有とかシェア的な考えって、仕事関連で考えるなら先行してるのは人材派遣業とかクラウドソーシングみたいなこと。

ネットでプラットフォームをやれば、限界費用はほぼゼロ。

なんか入ってくる人を、モノ化IoT化してる気がする。そう考えると、シェアが台頭することの問題点って明らかだと思うけど、運営している人たちが欠陥に自覚的で、謙虚かどうか。プラットフォームの運営こそ機械化・自動化すべき。謙虚なら、最小限の人数で最小限の利益にとどめるはずだけど、そんなことは絶対ない。

利益を最大化しようと、しないわけがない。

 

なに? 分かりづらいって?
プラットフォーム、特にマッチングサービスは邪悪化しやすいのよ。出会い系を婚活とか恋活と言い換えて、大手がやったところで、利益を最大化しようとしたら、おんなじだからね。

直接的な接点があまりなく、データとして扱えば、どんどんヒドいことをやってしまうのが人間。

 

 シェアが台頭しオープンな世界では、邪悪さがなくなるだろうか

 

この本には「患者主導の保健医療」ということが書かれている。「現在オンライン上には何百ものオープンソースの医療コモンズが存在する」と書かれている。

 

患者主導の医療サイトは、きわめて個人的な事情から派生したものが多く、
希少疾患を取り上げていることもしばしばあり、
そうした疾患の認知度は低く、治療法や治療薬の研究はさらに不足している。

 

たぶん、そうなんだろう。珍しい病気を研究する医学者は少ないだろうし、論文を読んでもいない医者の方が圧倒的に多いかもしれない。同じ病気を持つ人たちが、ネットでつながれば、その集合知はスゴいかもしれないし、画期的に役立つかもしれない。
確かにいいかもしれない。

 

患者主導の医療は、自分の症状がどういった病気に該当するのかを突き止めようと、その症状についてインターネット上で検索する人が増えるにつれて、自然発生的に始まった。

 

そりゃあ、そうでしょう。医療コモンズは、難病とか希少疾患には役立つ可能性がある。でも該当する病気を調べようとして、ありふれた風邪の症状を重大な疾患だと思い込む可能性だって、かつてないほど高くなっているはずじゃない。

 


医療にクラウドソーシングを使う動きも活発化していて、こんな風に希少な病気の治療に役立ったという事例を書いているサイトもある。「患者主導の保健医療」に書かれていることより、さらに具体的だ。
医療業界もクラウドソーシングを利用する時代へ。群衆知を治療に利用するCrowdMed

2013年の記事だけど、読むとへー、スゲとなる。
こういう方向に行くのは間違いないけど、これが共有かというと、そうでもないような。

 

限界費用ゼロ社会』を読んでなんとも分からないのは、IoTが拡大するのも間違いないだろうし、シェアリングエコノミーが拡大するのも方向性としては間違いないと思う。資本主義が暴走しているのは間違いないし、思想的に破綻しているとも思う。だからといって、シェアリングエコノミーが手放しに素晴しいとは思えないし、それほど拡大するだろうか、とも思う。

 

人間が儲けるということに関して邪悪じゃなければ、どっちだってそれほど問題ない。邪悪なら、どっちだって弊害は拡大するでしょ。

 

限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭

限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭

 

 

 

今日のBGM-412【 Teddybears - What's Your Problem? 】