ファーストキッチンがウェンディーズに売却されて、いいことがあるんだろうか
このところ、ウェンディーズがらみのキーワードでこのブログに来てくれる人が急増したから、なんだろと思って逆引きしてみたら、サントリーがウェンディーズにファーストキッチンの株式を譲渡することが決まったという報道。
なんだ、そんなことか。正式発表があったというだけで、前から情報出てたじゃない。
私は、こうツイートした。
ファーストキッチンの立地で、ウェンディーズのメニューで行くなら強力だわ →ファーストキッチン株売却へ | 2016年5月23日(月) - Yahoo!ニュース https://t.co/E0RtPJgJ34 #Yahooニュース
— 不透明なチカラ (@f_chikara) 2016年5月23日
そりゃもうファーストキッチンのある場所は、駅近ばっかりだ。赤坂見附の駅出たとことか、銀座駅の地下からつながるところとか、激戦区の渋谷のセンター街なんてマックやバーガーキングより駅に近い。いやあの、どこも入らないですけどね(笑)
でもそこでウェンディーズのメニュー出すなら、私だって入りそう。あ、どうだろ。高いから、ひとりで入ることはないな(笑)
ここで書いた通り。
ウェンディーズのCEOも買収の理由は、立地だと認めてる
東洋経済ONLINEに、ウェンディーズCEOのインタビューが出てた。直接的に語ってるわけじゃないけど、立地の確保で拡大が難しかったことを認めてる。それを打開するための方法が、まずファーストキッチンとのコラボだったと。
要するに、それだけの資本力がなかったということよね。あちこちで閉店するマクドナルドの後を様々な飲食が借りようと競ってるという話を見かけたけど、競うから釣り上がるんだろう。
後発で新規物件を確保しようとすると、どうしても割高になるのかもしれない。
これを書くときに調べたら、マクドナルドよりはるかに不利な立地なのに、はるかに高い坪単価で借りてたから驚いた。メニューがどうのとかオペレーションがどうの以前に、立地と賃料で黒字になるわけがない(笑)
インタビューを読むと、コラボを増やすということだから、ファーストキッチンが借主のままで、ハンバーガーをウェンディーズにするってことね。確かに立地問題は解決される。
ドリンク類は、どうするんだろう。モルツとか、サントリーもので続けるんだろうか。でもサントリーは株式をすべて譲渡するみたいだから、消えていくのかもね。
あまり語られていないサントリーの事情って
サントリーは「選択と集中」を掲げていて、それでサブウェイも手放したということだけど、ドリンクやアルコールの世界がそれほど過当競争なんだろうか。
海外の事情はわからないけど、そりゃまあ国内のビールやビール周辺商品を見ても、大変だわね。価格競争と税金に追いかけられて、利益率はどんどん悪化してるだろう。
オランジーナを見てても少しでも単価をあげようする戦略が垣間見えるけど、たぶん高単価にした商品は苦戦してるはず。それほど消費者の財布のひもは、きつく結ばれてる。
サントリーは2014年、飲料業界でNo.1に躍り出たけれども、さらに昨年はJTの自販機事業を買収した。その費用はなんと1500億円。今回のファーストキッチン株売却は数十億だというから、冗談みたいな話だ。
ファストフードを経営していても、ほとんど儲からない。飲料業界も厳しいけど、JTの持つ自販機事業を買収すれば、いっきに販売拠点を増やし、物流の効率化ができるということだろう。
金額の規模が大きすぎて妥当性はなんともわからないけど、たぶんサントリーの判断は正しい。
少なくともひとつの商品のロットを拡大させ、商品あたりの物流コストを大幅に引き下げるのは急務だ。一方で高価格化を思考錯誤しながらも、そんな不確実なことに賭けるより、上げられない単価の中で利益を増やすという方針。
そう、インフレになんてならない。土地がらみだけがインフレだけど、それもほぼ終わりかけてる気がする。安倍総理がリーマンショック直前の状況に近いと言ってるじゃない。サミット各国の反応通り、たぶん日本だけがね。
そんなことほとんどの消費者は知ってるし、現実に使える金もないから、価格が上がったら買わない。
新生ウェンディーズの失敗は、高い価格帯も
立地の問題もあるけれども、CEOのインタビューを読むと、これからも高単価なハンバーガーで行くみたいだ。いや、おいしいんだけど、1000円出すんだったら他に行くでしょ。「ウェンディーズ表参道閉店にみる、東京のいびつさ」を書いた頃の値段なら、プレミアムハンバーガーが900円でドリンクが300円ちょっとぐらいかな。1300円ぐらいになる。
だけど原宿・表参道で肉を食べたいなら、老舗のまい泉が1000円までのランチが複数用意されている。ウェンディーズに行く人は、ネットで話題性があったからじゃないだろうか。ハンバーガーなら、もっと高いけどグルメバーガー店がいくらでもある。
いまウェンディーズの高価格バーガーは、この新メニューが760円。ちょっと下げてきてるみたいだ。
そしてもうひとつ、期間限定で登場したのが『プレッツェル スパイシーアボカド』ですd(^_^o) フレッシュなアボカドとハラペーニョやバッファローチキンドレッシングのスパイシーさが、たまりません! pic.twitter.com/a5bbgQ3hEo
— ウェンディーズ (@Wendys_jp) 2016年4月30日
ウェンディーズはファストフードとファミリーレストランの中間の業態、ファストカジュアルを狙ってるみたいだけど、イメージだけで店のオペレーションは完全にファストフードだ。
それに黒船バーガーと呼ばれてるようなのは、みんなファストカジュアルの価格帯を狙ってるようだけど、そんなの日本では観光地価格だ。
シェイクシャックだって外苑前、恵比寿ときたら、あと出せるのは六本木、表参道、麻布とか、かなり限られるんじゃない。というか、新生ウェンディーズの辿ってきた道ぐらいしかないよ(笑)
いまの日本で大勢に日常的にリピートされるのは、マクドナルドやファーストキッチンの価格帯しかない。と私は思うんですけど、どうなんでしょう。
投資ファンドが経営を握るということは
それに私はアメリカのウェンディーズが買収資金を出したんだと思ってたら、そうじゃなかった。ウェンディーズの日本法人に投資ファンドが出資して、買い取ったという。当然、経営権は投資ファンドが握る。
投資ファンドが金を出すのは、大きなリターンが望めるからだ。もちろんその投資ファンドの動かす金全体にとって、今回の数十億が瑣末な案件だとしたら、ともかく。
通常はリストラして、大きな利益を出せるようにして、他のファンドなどに売り飛ばすか、安定的な収益源としてしばらく持ち続けるかのどっちかだと思う。
持ち続けるとして、どうするか。サントリーがJTの自販機事業を買収して、物流の相乗りによる効率化などをはかるだろうけど、それと一緒。悪く考えなくても、その厳しい版。
金融出身者と税務のスペシャリストぐらいしかいないんだから、それしか分かんないんだし。
単純にいえば、ファーストキッチンとウェンディーズで共通して使えるものを増やしていく。たとえばバンスやパティやポテトやデザートを同じにしてしまう。野菜を同じルートから仕入れる。とか。
そうやってより大量仕入れして、コストを低減させる。これからの価格帯がどうあろうが、原価を引き下げて利益率を向上されることぐらいしか考えられない。
ってことは、ウェンディーズだ、コラボだとか名前が違っても、商品名が違っても、中身はほぼ同じケースが増えてくるかもしれない。
ウェンディーズの店なのに、メニューの中身はほぼファーストキッチンと同じになってるとかね。
これからそれぞれのブランドをしっかりさせるつもりなら、独自のユニークな商品が出てくるだろうし。もしかしてアメリカのファストカジュアルのように、ビーガン向け商品も出てくるかもしれない。
逆に安く安くして短期的な売り上げ取ろうするなら1個買ったら、もう1個無料みたいなデブはもっと食え路線があるかもしれないし。
と考えて、あれ、ウェンディーズ単独店って、ひとつしかないじゃん。ってことはスケールメリットないじゃんということに気がついた(笑) シナジー効果なんて、ないじゃんと。
なら、投資ファンドが解体・売却という方法を選ばないとしたら、さらに他のバーガーチェーンの経営権を握ってスケールメリットを追求するしかないじゃんね。
大赤字だというバーガーキングを買収したりしてね。
いやぁー、あるかもねぇ。
今日のBGM-417【Yumi Zouma - Catastrophe 】
おしゃれだわ。ハンバーガー店では流れなさそう(笑)
またこのジャケット写真も、おしゃれだし。
アメリカではリーマンショック後、大量生産の仕組みの中で粗悪な商品を作るのではなく、クラフト文化が開花してる。もちろん食も、と書いている本もあります。