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不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

甲野先生の講習会という不思議な空間

[稽古でした]

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甲野善紀先生といえば、メディアに取り上げられているから、たぶん一般的にもそれなりに知られてるだろう。

 

私は十数年前、甲野先生がビデオを出されていた時代で、それほど知られていないときに二度ほど稽古会に参加してる。恵比寿でやられていた稽古会は、それでも知っているマニアが大勢いて、人がいっぱいで手を取らせてもらうなんてことはできなかった。

 


今回、15人程度で、甲野先生の講習会などを受けたことある人という条件で、中島先生@naka_naka_gが告知されていたので、時間をやりくりして参加させていただいた。

私は講習会を受けたことがないので大丈夫かなと心配していたけど、中島先生によれば「甲野先生の稽古がどういうものか知っている人」という意味だそうだ。なるほど(笑)

 

甲野先生の稽古会というのは、極論すれば、甲野先生がほぼ稽古しているだけで、参加者に稽古させるためのものじゃない。どこかの道場で武道をやっている人だって、スポーツを習っている人だって、何かを教えてもらって、それができるようになるために練習する、あるいはしごかれる場が道場なり教室だし。稽古やレッスンというものだ。
甲野先生の稽古会は、まず甲野先生が試行錯誤されているプロセスが見える。また参加者にこれをこうやれ、みたいなことはおっしゃらない。そうするとどうなるか。参加者は、オタクばかりだから考え始める。自分もやれるようにするにはどうすればいいか、考え始めて、他の参加者と一緒にやり始める。今回はなにより15人程度という人数だったし、私自身が十数年前とは違うので、そういう様子がよく見えた。


どんな武道でもカタチを重視して、反復稽古する。型武道ではなく自由な攻防がメインだとしても、試合というフォーマットはいわば舗装された道路を速く走るみたいなもので、クルマなりバイクなり自転車なり、そこに適したものを選ぶ。だけど、その適しているはずのスポーツカーで道のない山林を走れるかというとまったく無理だ。
スポーツのルールはそもそもそういうものだけど、条件設定に最適化しようとする。ところがその条件設定を次々に変えていくのが、甲野先生なんだなと、つくづく思った。


甲野先生は足裏返しとおっしゃっていたと思うけど、相手に両手で腕を持たれる。その状態から足首をぐきっと折って、相手を下に落とす。手を取らせていただいたけれど、甲野先生の全体重が一気に手にかかってくる感じで、ものすごい衝撃だ。
同じ原理で下に落とす方法は、いくらでもあるから、原理としてはわかりやすい。他の技術では、たとえば60キロの体重だとしたらその半分、30キロがドンとかかるぐらいが限度だ。でも甲野先生のやり方だと50数キロぐらいは、一気に来てるんじゃないだろうか。もちろん、足首は壊す。甲野先生も「足首壊すんだよな」とおっしゃってた(笑)
他の部分の技術はどうあれ、一気に足首より下をなくしてしまうんだから、オソロシイ。たぶん居着かないということを追求されて、こういう技術にまで行かれたんだろう。

 

居着かない、をもっとわかりやすく体感できた方法もあった。甲野先生が、それぞれ違うバランスボートの上に両足を置かれて、つまりぐらぐらしている状態で立たれ、肩をつかませる、あるいは腕を取らせる。それを動かすというもの。同じことを床に立った状態でやったのとどう違うかを体感させる。
私もバランスボートの上に立ってやってみた。似たような技は普段からやってるけど、それ以前に、違うバランスボートにすっと立てるのかというのが心配(笑) だけど、やってみると楽々動かせるし、振り回せる。床の上でやるより、ぜんぜん軽い。

 

袋竹刀で甲野先生の頭を打っていく。するとさっと消えるように入身される。動く気配がないのにびっくりだし、本当に打った側からすると消えた!? というレベルだ。私がやってみると、先生にポカポカ頭を打たれた(笑) 教えていただいた通りにやろうとするんだけど、カラダがそういう風には動かない。そりゃあ、そうだわ。養神館は側軸というか、前足を抜くか後ろ足で押して移動する。他の武道だって、両足を一瞬で浮かせて移動するなんてことはしない。居着かないといっても、精度が違いすぎる。

 

自分のやってることに自信を持っていても、設定条件を変えれば、ぜんぜん通用しなかったりする。やってればやってるほど、固まってる。マニアに、そういう根本的なところを気づかせる稽古会なんて、そうない。


太刀取りは、合気道の演武ではよく行われているけど、実際にはどうだろう。私も演武で太刀取りをやらなきゃいけないことがあって、そのときはうちの師範が「抜かれたら入れない。だから抜かれる前に対処しろ」と無茶苦茶なことをおっしゃった(笑) だけど、それが本当よね。


じゃあ、私が甲野先生のような動きを追求するかというと、できるわけもないけど。でも相手が武器出してきたら、私はもっと有利な武器を出す。武器がなければ、そこらへんにあるものを手当たりしだいに投げるな(笑)

 

これって武道だけの話じゃないわ。世の中なんでも前提になる条件があるのに、それを忘れて優劣をつけたり。条件は変化して当たり前。甲野先生の稽古会って、そういう意味でも稀有よね。

 

 

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