不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

駅のトイレで「ご利用ありがとうございます」と言ってるのを聞いて、日本の生産性が上がるわけないじゃんと

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こないだ出勤時に駅のトイレに行ったら、清掃してる人が「ご利用ありがとうございます」と繰り返してた。

私はギョッとして、クラクラした。誰が言わせてるんだよ。

ターミナル駅だから、小便器だけで20以上はある。それ清掃しながら、いちいち顔上げて「ありがとうございます」なんて言ってたら、作業が捗るわけないじゃん。

 

「ご利用ありがとうございます」と言わせる経緯は、だいたい想像つくじゃん。

東京オリンピックを目前に訪日外国人観光客が増えている。日本伝統の「おもてなし」の精神を発揮して、気持ちよく使ってもらえる駅のトイレを目指そう。

とか会議で言い出した偉い人がいて、それはいいアイデアだ。「ご利用ありがとうございます」と言ってたら、丁寧に使ってくれて汚す人が少なくなるかもしれない。早速実施させようと、トイレ清掃なんかしたことのない本社のホワイトカラーたちが賛同した。やらせるのはタダだし。

みたいなね。

 

自分たちもトイレ清掃やってみればいいのにね。

清掃員は接客業かよ。

アパレルショップで買わずに出て行く人にも「ありがとうございます」と声かけするのは、買わなくても歓迎ですよ。気軽にまた来てくださいね。とまた来店してもらって、販売につながる機会を増やしたいからだ。

役所で住民票取ったって、「ご利用ありがとうございます」とは言わないでしょうよ。

 

 

日本の生産性の低さは過剰サービスが原因か?

 

こないだ難しい仕事をしてそうな銀行員の知り合いが「先進国の中で日本の労働生産性が最も低いというのは、それはサービス過剰だからですよね」と言って来た。

日本はもともとサービス過剰だ。モノだとオーバースペックというのもある。

「おもてなし」でそもそもサービス過剰というのもあるけど、さらにサービス合戦で競争してる。かつては富裕層向けのサービスだったのを、誰にだってやるようになっている。

単純に考えて、お金のもらえないサービスを過剰にしたら、労働生産性は落ちるのが当たり前。単純化していえば、一人当たりの労働生産性とは、人が働くことで得られる粗利みたいなことだ。

お金にならないサービスを増やせば、時間あたりの粗利は小さくなる。1日あたりの粗利を増やすためには、労働時間を増やすか、販売価格を値上げするしかない。

でもデフレ下の日本では、値下げすることが最大の販売促進策になっているから、値上げする勇気のある企業はとても少ないし、変わり種でしかない。

 

トイレを清掃しながら「おもてなし」するのは、会社からすればタダ。しかし清掃員は、今まで以上に高速で作業しないと終わらない。

じゃあさ、ペッパー置いとけよ。ペッパーに「キレイに使ってね」「ご利用ありがとうございます」と言わせる。確か月6万ぐらいだけど、外国人観光客はビックリするよ(笑)

 

供給側が自らサービス過剰にするのはあるけれども、それ以上に客の立場になると傍若無人、ブラック化する日本人は思いの外、多いよ。

 

 

下請け会社から搾り取る違法行為は野放し  

「サービス過剰だからですよね」と言って来た人に、私は「サービス過剰もあるけど、B to Bだと過剰な無料サービスを押し付けられていることも大きいんじゃない」と返事した。

今、それなりの規模の企業で出世している人たちは、その業界や業務の経験がない。あるいは過去に業務の経験があるけど、現状がどうなっているかは知らない人たちが多いんじゃないかという気がしている。

長くトイレ清掃していた人なら、清掃員に過大な負担は求めないだろう。人として。

やったことがなくて、会議室からだから好きな思いつきが言える。

 

やったことがない業務の素人たちだから、説明に時間がかかる。打ち合わせや会議が壮大な無駄。

その時間は、何の生産性もない。無料の無駄なサービス。

なぜ、そういう人たちが出世できているかというと、ヒドいことを平気で要求できるから? サイコパスだから?

 

ここ何年も日本企業は空前の好収益だという。上場企業は、ってことだけど、それが株高のひとつの要因でもある。

だけどその中身は、売上増加を伴わない「過去最高益」。そんなことはずっと言われている。

もちろん東京オリンピック関連需要に沸く建築土建業界や不動産業界は例外として。

 

元日銀委員も昨年出した本にはっきり書いている。

 

売上が増えていないのに、空前の好収益なのはコストカットをしているから。 

経費節減、人件費削減等、いわゆるリストラと言われているもの。これについては後述するけれども、無駄をカットしているというより、無駄はかなり残している。

さらには外注費の削減。この外注費の削減というのは、詐欺とか騙し討ちとか、恐喝まがいの圧迫とか、そんなのも多い。

 

仕事の受注前に契約書を交わす。それでも後から、追加要求が出てくる。私の経験上、女性の管理職に多いのは「それぐらい、いいでしょう。そんな厳密な契約なの?」というもの。それほど悪質ではないけど、オマケしろという「おもてなし要求」だ。

悪質なのは、悪質だと知っていて要求してくる男性管理職や経営陣。そんな人は昔からいるけど、仕事を降りられない途中段階で言ってくるのは交渉ではなく、ほとんど詐欺行為だ。

もちろん、追加要求には代金を支払えば問題はない。金は出さない。納期はずらさない。というのは、複数の下請法違反だ。

 

最近では、こんな裁判もあった。


IT業界では、よくあるもめごと。この裁判は規模が大きく、象徴的だ。

システム開発では契約をする前に、要件定義と発注金額を見合ったものして結ばれる。ところが発注者が要求内容を追加したり、変えたりすることは当たり前のようにある。

今回のケースがどうだったのかは知らないけど、追加料金を払わず納期は延ばせないという場合はざらにあるはずだ。

発注した旭川医大側に技術のわかるシステム担当者はいなかったんだろう。まったくの素人しかいなくても、競争入札にして競わせれば、安く収まる。丸投げして途中で注文を加えても、プロだから何とかするはず。

それが日本クオリティとかおもてなしの精神だと思ったのかもしれないけど、あまりに金額が大きいから、NTT東日本も裁判にしたんだろうと思う。

 

 

公正取引委員会が広告を出してる。それ、下請法違反ですと。

だけどどういう罰則があるのか。せいぜい勧告して、公正取引委員会のホームページに載せている。それでどれほどのダメージがあるかといえば、ないに等しい。

下請法勧告一覧(平成29年度)

 

ここを見ても、毎年のようにコンビニ運営会社が出ているけど、何のダメージもないでしょう。告発したのは、きっと取引を辞めた下請け企業。逆にいえば、取引している間は告発したところで何のメリットもない。

取引がなくなった後で告発するのは腹いせみたいなもので、具体的なメリットからじゃないだろう。

 

下請法違反をやっている多くの企業は、やったもん勝ち。空前の好収益を上げている企業で、違法なことをしていないのは少ないはずだ。

空前の好収益を誇っている企業は、高い労働生産性も誇っているはずだ。しかし下請け企業の労働生産性は、限りなく低下する。

 

下請けは、壮大な時間の無駄と単価の下落に見舞われる。働く人は、見合った給料をもらえないのは明らかだ。

日本の総和として、労働生産性が上がるわけがない。

  

さらにいえば、現在はこれより先の事態になっている。

 

 

派遣企業大国の闇は、深まる一方で後戻りできなさそうだ

 

派遣企業は、どんどん増えているという。人口に対しての派遣事業者数の割合は、日本がダントツに高いという話があるが、根拠のあるデータを私は見つけられなかった。

 

一般社団法人 日本人材派遣協会が公表している「世界の派遣市場」によれば、

 

2015年度の国別派遣売上高では、アメリカが1,163億ユーロで世界1位、続いてイギリスが434億ユーロ、日本が377億ユーロで世界3位の売上規模となりました。

とある。リンクさせるのは許可がいるみたいだから、興味ある人は自分で検索して見てください。

 

人口比で考えれば、日本の派遣業の売上規模は1位のアメリカと同等と言っていいんじゃないだろうか。

 

とにかく急成長を続ける派遣業界は、とっくに過当競争になっている。

「日本の人事部」によれば、派遣事業所数は2005年の31361所から、2014年の74609所と2倍以上になっている。

 

2006年第一次安倍内閣発足にあたり、竹中平蔵氏が「日本版オランダ革命」を提言した。私はこれで派遣が儲かると確実視して、人材サービスに無縁だった企業まで派遣事業に参入したことが、現在の過当競争につながっているんだろうと想像してる。


日本版オランダ革命とは「終身雇用、年功序列という雇用形態への偏重から訣別し、同一労働同一賃金の原則の確立」。雇用とは"企業は利益を実現することが本義であり、その実現の為に雇用が発生する"という派生需要である。日本の労働市場は制度の不公平から格差が生じているという。

 

文字通り読むと、その通りだよと思うけれども、竹中氏の狙いは、働く人を正規雇用から派遣にどんどん置き換えることにあったみたいだ。

それが狙いかどうか、事実、政治の力で自治体の民間委託は進んでいて、それを派遣会社が受けている。

 

ある法務局に行ったら、小さく「この業務はパソナが運営しています」と書いてあって、驚いたことがあった。ここにいる人は、みんなパソナの派遣なのと。

経費削減なら自社の印鑑証明とか謄本をとりたい人には、オンラインでやらせればいい。というか印鑑なんて、何で必要だよ。もはや証明にもならない印鑑証明で、金取ることもない。

もちろんオンラインでやれない人もいるだろうし、他人の土地登記を調べたい人もいるだろう。そういう人たちからは、今より高い金を取って場所と対人でのサービスを維持すればいい。

 

大きな無駄を残したまま、運営自体を人材派遣業に丸投げするとどういうことが起こるだろう。

公務員ならなおさらだろうけど、一般企業で働く人たちも、直接雇用ならアルバイトでもパートでも、残業できませんという日があってもおかしくない。そんなの当たり前だ。

だけど派遣会社に登録するときに「残業できない日もあります」と言ったらどうだろう。多分、派遣されない可能性が高い。あくまでも想像だけど。

 

今、多くの企業が業務請負や派遣による業務運営にシフトしていたりする。

一つの部門に派遣会社から20人30人も送り込んでいて、業務が成り立っていたりする。

こういう場合、派遣会社は「正規雇用と同じに働きます」「スキルは正規雇用以上です」「残業も同様にやれます」「それでいて総コストは直接雇用より安いです」「事業環境が変われば、すぐに増減できます」と売り込んで、同業他社と競っているだろう。「プレミアムフライデーとか働き方改革なんて関係ないですから」と。

 

正規雇用であれアルバイトやパートであれ、企業が直接雇用しないで派遣会社を使う理由は、景気変動や市場の変化、リーマンショックみたいな出来事に柔軟に対応できるからだ。つまりは解雇と補充が素早くできると。今は、それすら建前になりつつある。

 

派遣でやる人は、正規雇用と同じかそれ以上に働くのに、給与は安い。しかも文句も言えない。そうなっているんじゃないだろうか。

 

人件費が圧縮されて、派遣会社のマージンがあって、それで日本の人件費の総和はどうなるだろう。

もし派遣会社や人材紹介会社が間にいなければ、現在は労働人口減少で、人件費が上昇するという局面だ。派遣会社が過当競争で、派遣先企業獲得競争をしていたら、どんどん条件は悪くなる。

 

個々人の所得が低下し続ければ、つまり将来不安だけじゃなくて現実的に消費に回せるお金が減れば、デフレが解消するわけもなく、モノやサービスの価格はますます低下するだけだ。

そうすると、付加価値とか粗利が増えるわけもなく、日本の労働生産性は下がり続けるだけだと。これからの日本では、きっと労働しないことだけが労働生産性を増加させるのかもね。

 

 今日のBGM466【嘘をつく唇 feat.片平里菜/ TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA

 「その毒回った男が近づいて来ていたわ」だって(笑)

昭和感たっぷりの古くささがいい。

 

ジャケットの絵は江口寿史さんだしね。昭和歌謡(笑)

 

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