社長の広報
昨日の昼を食べに出た時、公園通りを派手なビルボードカーが走ってた。何度か見てるトラックなんだけど、目の前を通ってたので、細かいところまで読んじゃって。
ホッピーの会社の社長が書いた本を宣伝してた。
渋谷だとアーティストのCD発売やライブを告知とか、出会い系サイトとか、最近ではドリランドとかチャン・グンソクのアプリゲームとか、そんなのを宣伝するトラックが巡回してて、ホントにうるさい。全国に行ってるみたいだけど、渋谷ー原宿は一日中ぐるぐる回ってる。
確か石原都知事が怒って、騒音の規制をするとかなんとか言ってたんだけど、一時期音を小さくして走ってただけで、もう全然ヘーキでやっちゃてるみたい。
ドリランドなんて、あのジングルが繰り返されてウルサいなんてもんじゃなかったし、夜に荷台が発光するようなトラックが四台まとめて走ってて、昔のトラック野郎が復活したのかよと、古いことを思い出した(笑)
本の宣伝なんて珍しい。私はたぶん見たことないわ。ホッピーの会社の社長の本は、『技術は真似できても、
育てた社員は真似できない』というもの。「7割が20代でも業績を伸ばし続けられるのは、人財共育にあった」と書いてある。
ふ〜ん、それは人件費が安いからちゃうのと、イジの悪いことを思ったりしたけど(笑) でもこの三代目社長が若くして低迷している会社を継いで、低迷から脱却して業績を伸ばしてるのはスゴいし、古くさいイメージのホッピーを、若者向けにも認知させたところは素晴らしい手腕だと思う。ホッピーのトラック、よく見かけるのは配送のためのもので、でもそのデザインが素晴らしい。「ホピトラ」というらしいんだけど宣伝くさくないのに、目だつしカッコイイ。
ただ、この社長、なんでこんなに本を出すんだろう。今までに四册か五冊か、そのぐらいは出してるはず。私は読んだこともないし、あんまり興味ないけど、誰に向けてなんだろう。経営者が経営のことを書いた本とか、ライターが経営者のことを書いた本とか、誰が読んでるの? そりゃあ歴史的な偉人とかなら興味はあるけどね。私はジョブズに興味はあるけど、でもジョブズのことを書いた本がどれだけベストセラーになったって、興味ない。私はずっとMacを使ってるし、Appleの製品をけっこう使い続けてるから、それなりに分かってるつもり。というか、本で読まなくても、製品が語ってる。ジョブズがいなかった何年かのAppleの製品はつまんなかった。それだけ感じてるんだから、十分だ。
いくら会社を再生させた若い女性の社長の語ることだからといって、それを読んだからっていって、役立つとは思えないんだけどな。そういうビジネス本ばかり読んでる人が、仕事のできる人だったためしがない。あ、経験上ね(笑)
ましてや、ホッピーはコミュニティサイトなどのネット戦略で、業績を向上させた会社。さらに本を出すのは、あまりネットを使わない人へのアピールか。でも内容が経営ものだってことは、採用対策なのかもね。
ただこうやって、話題を作り続けてることで、ホッピーの存在感を向上させてるのは間違いないだろう。情報や刺激が溢れかえってる今の時代、忘れられちゃ、それで終了。ホッピー=社長じゃないけど、ホッピーというキャラクターみたいなことを、浮上させ続けてる。
ネットの時代になって、今まで以上に社長がキャラクターとして前面に出てくることが多くなった。それまでの大企業の社長は経済団体の中でアピールしてれば、利益共同体でなんとかなってたし、国の委員会等のメンバーになって、具体的なメリットを享受出来てた。
今の新興企業はどうかというと、経済団体は無視しても、行政の委員会のメンバーになって、信用力を増したり利益誘導をしたりしてるのは一緒。メンバーになると、急に官僚を持ち上げたりする(笑) 官僚もそれが分かってるから、発信力のある人たちを取り込むんだろうけどね。
そういう中でも、行政に強烈に注文をつけるのがソフトバンクの孫さん。でも私は孫さんがどれだけいいことを言っても、CMが面白くても、現実の営業活動、しつこい営業電話だったり訪問だったりで、まったく信用していない。社長が面白いキャラクターでも、かぶり物を脱いだら、コワいものが出てくるんだろうなという気がする。
先週、ネット上で大変なことになってたのが、居酒屋チェーンの会長のツイート。テレビでコメンテーターもやってるし、政府の委員会にも入ってるし、海外支援もやってる。起業家としての存在感もあるし、知事選にも出た強烈なキャラクターだ。
亡くなった社員の労災認定に、それを認めないまま、「命がけの反省」とかいう矛盾してて意味不明な内容。それが叩かれまくってた。店に行かない運動まで広がってる。もちろん、こういうネットの騒動を知らない人の方が多いだろうけど、こういうのはジワジワ広がってくる。もうブラック企業だというイメージは、そうそう拭えないだろう。
私は同じ会長のツイートの中に、「一層の法令遵守」という言葉がすべてを語ってると思う。ずっと以前にもこういうことを書いたんだけど、いまや多くの企業にとって、「法令遵守」とか「コンプライアンス」という言葉は、<法律に触れないことなら何をしてもいい>という意味だ。かつては外資だけだったけど、グローバル化でそんなことになってきてると思う。
極端な話、クルマを運転してて、こちらが青信号なんだから、信号無視して横断してる人がいても、跳ね飛ばしていい、ぐらいの考え方。もちろん道路交通法では、交通の安全が最大の目的だから、跳ね飛ばしていいということにはならない。でも多くの法律が、そういう何のために作られてるか、存在するかってことがないのよね。法の精神ってところね。
そりゃあもう、難しいところだけど、これからはもっと法律を守るようにしますよと言うのは当然だといえば当然。行政は、法律が建前で、手続きと書類が必須で、前例がルール。だけどこれだけ環境が激変してる中で、法律は後追いだし、全部カバーすることは逆にとんでもない。本当なら、精神だけでいいんだけど。そもそも多くの法律や手続きが、逆に弊害になってるってことは、3.11でバレちゃったでしょう。孤立した人たちに救援物資をヘリから投下することが、自衛隊は出来ない。米軍は人道的に判断して強行したってこととか。
日本だと、なんのためにっていうところが、ほとんどないのよね。
会長のツイートがマズいのは、労災認定は置いとくとしても、お悔やみや反省とかいう心の話の中に、法令遵守なんていう言葉を持ち出してきてるところ。悔やんでるけど、法律は守ってますし、これからもっと守りますよと短い文章の中で言うのは、かなり分裂してる印象。要するにメインは、労災認定がおかしいって方に寄ってるのよね。
だから社長や会長が、広報までやっちゃうのは難しい。これだけ大きな会社なんだから、経営者は理念で、法務は担当役員とか、そういう風に分けてればスムーズなのに。社長がキャラクター化して、PRを前面でやるのって、そういう困難さがあるのよね。
そんなことを書きながら、私はこの会長。そもそもウソくさい顔してると思てったから、やっぱりな、バレバレだよな、ぐらいなんですけど(笑)
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今日のBGM-117【 Asian Dub Foundation - Buzzin 】
バズるとオソロシイよね。この曲のタイトル、Buzzinがどういう意味なのかはわかんないけど。