不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

富裕層とシンガポール

このところネットで目についた話題が、シンガポールでつながってた。書いてあることは、両極。

 

エイベックスの松浦社長の、Facebookでの発言から

富裕層は日本にいなくなっても仕方ない。僕は日本が大好きだが、日本は僕らを嫌いなようだ。(中略)貧困層の話題はよくマスコミに出るが、富裕層の悩みはほったらかしだ

 という部分が、あちこちで引用されている。原文を読んでみた。

こんな僕でさえ富裕層といわれるならば

ああ〜、ただでさえ色々と叩かれてるのに、またこんな反感持たれそうなことをと思った。薬物疑惑だってあるのに、わざわざどうしてと。

私は松浦社長の発言に、特に反感は持ちません。それだけ所得があるのはうらやましくはあるけど、エイベックスって、はじめは町田のレコード屋。海外のハウスブームに目をつけて輸入し、そこから大きくなった。紆余曲折はあれ、リスクを背負ってそれだけの会社にしたんだから、成功したのは、ものすごくラッキー。

ブログに貼付けてる【今日のBGM】を見てもらえばわかると思うけど、実のところ、エイベックスの音楽には、特に興味がないんですけどね。

 

大企業で、税制や規制で優遇されずに大きくなったところって、たぶん少ない。大きくなってからも政治に関わって、行政絡みでなにか得して来たわけでもないでしょうし。

日本の特異な著作権法下で大きくなったという意見もあるけど、陳情や圧力や政治家を支援して法律を左右したわけじゃないだろうし、そんなのは嫉妬みたいなことだ。

また後進国に工場を作って、奴隷のように働かせてたりするわけでもない。

FBで書かれたことは、かなり妥当。知り合いのゲーム会社のオーナーが、会社売却前にシンガポールに移住したと書いてある。金融長者はシンガポールに移住したり、法人を作ったりするのが流行だと、私も聞く。

どころか、前にも書いてるけど、日本のトラッドな金持ち、ストックリッチな富裕層は、3.11のあと、一斉に海外に逃げた。

そういう行動がいい悪いじゃなくて、金持ちが海外に逃げてしまうような税制や環境を続けていて、じゃあ残るのはどんな人たちだということ。それで税収や景気がどうなるかを考えないと。

 

私は、何十年と社会保険を払い続けてるけど、医者に行くことなんて、ほとんどない。コンタクトを買う検診で眼科に、歯の治療で歯医者に行くぐらいだ。今年、珍しく熱はないけどインフルエンザか?と思って、すぐ医者に行って検査。やはりインフルエンザだったので、すぐ薬を吸引したら1日で治った。

とてもじゃないけど、給与から天引きされている保険料、会社が負担している保険料の元が取れているとは思えない。あ、支え合いだから、元が取れてる取れてないじゃないけど(笑)

個人的には無保険にした方が得する人なんて、いっぱいいる。そういう保険をあまり使う人たちがいないと、とっくに保険制度なんて崩壊してる。

保険なら、いつ何時、事故にあったり、病気になったりするかもしれないから、お互い様だ。とも考えられるけど、じゃあ年金は? 税金は?となると、この先、ほとんどの人がどうにもならない。

 

 

 

もうひとつの話題。内田樹先生がブログで、こんなことを書かれている。内田先生は人気なので、ツイッターでも出回っていた。

日本のシンガポール化について

知り合いにもファンの多い内田先生だから、滅多なことを書くのはおそろしいけど。一読して、なんてまあ強引な展開と唖然。松浦さんのは主張というより、いわばグチ。何も言わず、実際にとっとと逃げてる富裕層はいっぱいいるわけで。

内田先生の、この扇動的な感じはなんだろう。怒りなんでしょうか。そもそも日本をシンガポール化しろなんていう意見が、どれだけあるんでしょうか。世論的には北欧型がいいよなぁというのが強いんじゃないかと思うんですが。

 

実際に日本人でも「シンガポールに学べ」ということを言う人たちはけっこう多い。

そういう人たちの中で「シンガポールは経済的な活力を得る代価としてこれだけのものを『失っている』」という損益対照表を作成して、その上で「それでも、差し引き勘定すると、日本のシステムよりシンガポールのシステムの方がすぐれている」と論じた人がいるだろうか。私は寡聞にして知らない。

ロジャースさんのような人たちは別に「他の国の人たち」の幸福を切望して「シンガポール化」を促しているわけではない。

そう思っている人がいたら、よほど善良な魂の持ち主である。

こういう人がある政策を薦めるのは「そうしてくれると、オレが儲かるから」である。それ以外の理由はない。

 私が知らないだけで、多いんだ。内田先生は、シンガポールの失っているものとして

労働組合は事実上活動存在しない(政府公認の組合のみスト権をもち、全労働者の賃金は政府が決定する)。大学入学希望者は政府から「危険思想の持ち主でない」という証明書の交付を受けなければならないので、学生運動も事実上存在しない。「国内治安法」があって逮捕令状なしに逮捕し、ほぼ無期限に拘留することができるので、政府批判勢力は組織的に排除される。えげつないことに野党候補者を当選させた選挙区に対しては徴税面や公共投資で「罰」が加えられる。新聞テレビラジオなどメディアはほぼすべてが政府系持ち株会社の支配下にある。リー・クアンユーの長男のシェンロンが今の首相、父とともにシンガポール政府投資公社を管理している。

 とお書きになっている。シンガポールに学べという人たちは、経済システムだけを「いいとこ取り出来ない」ことは知っているから、そこは口をつぐむというという趣旨のことを書かれている。

 

ここのところ、ちょっと笑いそうになって。シンガポールに学べという人たちは、移民政策と税制のことを主に言っていると、私は思うんですけど。

「いいとこ取り」と言ったって、日本が移民に少々開放的にしたところで、シンガポールのように人口の四割が外国人になることは、あり得ないでしょう。今の外国人高度人材とか学歴・職歴ポイント制なんて言ってる日本が、もし単純労働者でもOKなんて政策を取ろうとしたって、いったい何十年かかることか。

いろんな税率をシンガポール並みにしたところで、日本の人口ピラミッドを逆三角形から長方形に近づけるほどの動機付けができるかどうか。税制が変わったって、社会保障費は世界一高額なものになるんだから。

 

内田先生は大学教授されて、大阪市の顧問もされて、一般の人と比べれば、いわば税金の恩恵をはるかに受けていた側。政治家とも密接につながって。その人のこういう発言は、ご自身に返ってこないだろうか。

こういう人がある政策を薦めるのは「そうしてくれると、オレが儲かるから」である。それ以外の理由はない。

ご自分の所属されている組織は、行政と密接につながって、他を排除して既得権益を守ろうとされていないだろうか。

 

 

 

最悪なのは、富裕層も逃げ出すような税制で、税収は減るばかりだから税率は限りなく上がり、移民をブロックして絶対的に労働力が不足。それでもコストを上げられないから、細切れの雇用ばかり。一方で国内治安法的なもので監視し、実質的に独裁的になること。

いわば「悪いとこ取り」。

えげつないことに野党候補者を当選させた選挙区に対しては徴税面や公共投資で「罰」が加えられる。

 これは、今の日本だって、近いことが行われてるでしょう。

 

 

 今日のBGM-290【 RYUICHI SAKAMOTO - STEPPIN' INTO ASIA 】

坂本龍一さんは、ナショナリティは日本だけど、税金は日本で払っていないと言っている。もちろん創作上の利便性で、ニューヨークに行ったんだろうけけど。少なくとも日本の税制を逃れるてる。それで日本のことを心配してるって言ってもねぇ。

長年のファンだけど、そこはやっぱり許容できない部分。ある暴力団の本部の横には、国を憂う大型車両が公然と置いてあるけど、この人たちも憂うと表明しながら、税金払ってないんだろうな。警察も道路交通法で取り締まりもしないんだよなぁと思いながら見てる。

今問題なのはお金のことで、それをどう負担するかが問題で。憂いている人も出さない。誰も出さない、出したくない。という、憂うべき状況。