不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

何年も売り飛ばせない『万祝』というコミックの魅力

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マンガはとても好きだけど、だからって雑誌で読んだりしないし、単行本でカバーを見て、これは良さそうだと読み始める。だいたいは、マニアックなものだと思うけど、気に入ったからってそのままコレクションしてたりしない。

 

 

本は年に最低二回は、BOOKOFFに売りに行く。そうしないと家が大変なことになってしまうからだけど、コミックだって例外じゃない。整理しながら、う〜う〜んどうだろうなぁ惜しいようなぁと思いながら、『バガボンド』だってその都度売り飛ばしてる。

ところがなぜかこの『万祝』は、売りに行くことができない。年に一度は読み返してるかな。

今回も三連休だし、なんかフラストレーションが溜まってるから、『万祝』を行ってみた。で、けっこうスッキリした。

 

すべてがシンプルな爽快感と、疾走する溢れる生命感

 

『万祝』とは、漁師が大漁を祝う晴れ着らしい。それだけじゃなくて、コトバンクなどには「意外な大漁の際に、漁業主が漁夫・知人・関係者を 招いて開く祝宴」だと書いてある。

『万祝』というタイトルだけで、かなり魅力的だ。

 

 アマゾンの商品の説明は、こうなってる。

15歳の少女のクソ刺激的な日々……
高鳴る冒険心……未知なる世界……
すべて海から始まった!!

「強く……強くなってね!」
亡き母親の言葉を文字通りとらえ、強さを求め続ける15歳の女子高生・フナコちゃん。
彼女を連れ去った海賊ども、フナコん家にいる謎の下宿人・カトー、フナコを敵視する鴨林……。
フナコを取り巻く数本の流れが、金色の大海になる海洋冒険ロマン!!

 かなりムチャクチャな説明だ(笑) 

主人公フナコは、格闘技部の暫定部長。そう書くと格闘シーンが凝り凝りかと思われそうだけど、そんなことはない。血湧き肉踊る臨場感のある格闘シーンなんて出てこない。

フナコの繰り出す技は、超が付くほどシンプルだ。飛び後ろ蹴り、左ハイキックなど誰にでも理解できるシンプルな技が、バシッと決まる。格闘技オタクが喜ぶような場面はないです。

 

伝説の海賊バンクを探す旅は波瀾万丈なのに、心理描写にページを費やすなんていうことはない。登場人物たちのキャラクターはとてもわかりやすく、ぐじぐじした葛藤もない。だからってキャラクターの心の動きが分からないかというと、そんなことはぜんぜんなくて、単純明快に生き生きと伝わってくる。

 この旅は、すべてが祝宴。そんな脳天気な描き方は、日本の物語には珍しい。モチーフは、とても日本的なのにね。

 

真正面か、真横か。ななめのないカバー

 

『万祝』のカバーは、どれも顔が真正面か真横。日本の絵画とか写真で肖像を扱うときにに、こういう構図はめずらしい。イラストなら少なくないけど。

11巻のすべてがこうなんだから、作者の望月峯太郎さんは、間違いなく意図してやってる。

ストーリーも、たぶんそう。意図して、すっきりくっきりに作ってるから、細かいところを気にせず、疾走感が伝わってくる。それだけならアメコミっぽいけど、アメコミのようなバカっぽい単純さじゃなくて、登場人物のすべてにキャラクターがあって、生命感がある。

 

10巻11巻で、終わらせ方が混乱しているように思うけど、『万祝』はそんな稀有な存在なのよね。だから売り飛ばせないんだわ。

 

というか、これ↓ マーケットプレイスでセットで348円だって。そりゃあ売らないわ(笑)