ヒップな生活革命って、なんだろう
『ヒップな生活革命』という本を読みました。アメリカに新しい変化の波が現れたというものなんですけど。
はじめにで書いてあることからして、共感した。
アメリカ人はバカだ。そう思ってる人は少なくないかもしれません。マクドナルドを食べてブクブク太り…
知的レベルを疑うような発言をする大統領を選出し、自分の財力で払える以上の価格のマイホームを購入して…
とまあ、なかなか笑える。
私は著者が書いてるのとはちがう意味で、バカだと思ってる(笑)
マクドナルドを食べてブクブク太りとか、財力以上の家を買いとかっていうのは、資本の論理という合理性だけで突き進んでるから、そういうことになる。日本も似たようなものだけど、政策や企業倫理が成長という「合理性」一辺倒で、それに合理的に合致する人たちを増やし続けてる。
ヒップスターたちが社会を変革しはじめたアメリカ
ところが著者は、「新しいスペックを持つアメリカ人が、特にリーマンショック以降増えてきた」という趣旨のことを書いています。それが「ヒップな人たち」「ヒップスター」なんだそうです。
著者によればヒップとは「通」に近いと意味で使われているということなんですが、そんなヒップスターが社会を変革しつつあるといいます。
リーマンショック後の暗いニュースが一段落した頃、ニューヨークでは
驚くほどおいしいコーヒーを出すインディペンデント系カフェが増え、産地直送の新鮮な野菜がぐんと手に入りやすくなったのです。大量生産の仕組みの中で粗悪な商品を作るかわりに、古いものや廃材を直して使ったり、リメイクしたりする作り手が増え、手づくりのクラフト文化のつぼみが開花しているのに気がつきました。また、個人経営の本屋が、ギャラリーが、レコードショップが再び増え、文化に活気をもたらすようになってきました。
と書いています。
なるほど。
日本でも似たような動きはあるけれども…
東京にいると似たような動きは、ヒシヒシと感じられます。中目黒に行けば、ほとんど見ることができます(笑)
ただ中目黒だけだと、かなり規模が小さい。渋谷や原宿にも似たような店があったりしますが、インディペンデントではなくそれなりの大手資本がやっている。
レコードショップは、HMVが渋谷にアナログレコード中心の店を復活させましたし、カフェ系はジャーナルスタンダードのベイクルーズクループが多ブランド展開してたり。食品は、明治屋とか紀伊國屋が強かったり。家賃の高さからか、個人経営やインディペンデントはなかなか…
ヒップスターということになると、これはもうまったくいないんじゃないかと。家入さんは、「通」ではないし(笑)
ネットにはスターがいるけど、なにかの通ではなく、煽り上手なビジネスマンばかりのような気がします。なんでだろ。
良くも悪くも、日本人は信念が弱いのかも
通、通人といってしまうと、日本だと変人扱いかもしれない。この本に出てくるとびきりおいしいコーヒーを出すカフェがあったとしても、日本ではトレンドとして取り上げられるほど人気が出たり、チェーン展開できるとは思えない。
私にしてもチェーン展開の飲食業がそのコストダウンの方法からして限界に来ている、そろそろヤバイというのは確実に思ってる。そろそろ転換しないとヤバいと。ただ、だからといって個人営業店が良質な料理を出してくれるという保障はない。
日本だと今までインディーズから出てきて売れたのはモンゴル800とゴールデンボンバーぐらい? ゴールデンボンバーは面白いけど良質な音楽とは思えないしね(笑)
いい食材を使っていれば、それなりの値段はするだろうし、安かったとすれば「俺のイタリアン」のような立ち食い形式など、大きく何かを削る方法しかないだろうし。
この本では地産地消の話が出てくる。その地域のものを旬に食べるというマクロビオテック的な側面もあるけれども、物流によって発生する環境コストを抑えようという考え方なんだそうだ。
日本でもそういう飲食店があれば、支持する人も少なくないと思うんだけど、どうだろう。
マクロビオテック自体、日本名は桜沢式食養法というぐらいで日本人が提唱したのもだ。だけどマクロビオテックはアメリカの方が普及しているかもしれない。
生活革命のヒントは、いっぱい詰まってる
先日うちの方のブッフェ式の店で、トレイシートの一部に「身土不二」と書いてあって驚いた。身土不二とは、桜沢さんの提唱した概念で「地元で採れたものを旬の時期に食べる」というもの。おいしいけど、まさか「身土不二」という言葉に気がつく人が、どれだけいるだろうか。たぶんお店はマクロビオテックを全面的に採用しているわけではなく、またそれが大きな売りになるとは考えていないんだろう。
けなしているわけじゃなくて、日本だとそれぐらいがちょうどいい。強固な信念を持つ店だと、従業員はまるで信者だし、客も似たような人しか来ないという気がする。
マクロビオテック自体、いろいろと欠陥が言われているし。
ただ日本でも、経済原理だけじゃなくて、血の通った食べものとか商品を出す店が増えてくる予感はするし、この本はそういうことのヒントになるような示唆に富んでいると思う。