不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』という本

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「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」というタイトルで、「ルール、相手、土俵を変える」と書いてあれば、ははぁーと思う。表紙の四つの事象といい、ボストンコンサルティングみたいだなと読み始めたら、BCG出身の人だった。
まとめ方はさすがだけど、内容的には誰しも感じてる思っているようなことだ。

 


仕事をしていれば誰しも、市場の変化のスピードを感じているだろう。いや市場も変わってるけど、それ以上にプレーヤー側が変わってる。
ゲーム・チェンジャーとは、簡単に言えば、サッカーの試合を武装してやるようなもの。足で蹴るしかやっちゃダメだと思ってたら空気砲でボールを飛ばしてゴールしてもいいとか、あるいはゴールを移動させてもいいよ、観客の乱入もOKというようなものだ。
「ルール、相手、土俵を変える」とは、そんなこと。本書では、新しい戦い方を四つに分類している。

ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変える
 
相手の儲けの仕組みを無力化する「秩序破壊型」- Breaker

スマホゲームはそれまで専用機を必要としていたゲームのあり方を破壊した。ハードやソフト、あるいはライセンスを売って儲けるという任天堂ソニーの儲けの仕組みを破壊した。
LINEは定額制のパケット通信を使って、実質通話を無料にし、キャリアの儲けの仕組みを破壊した。
この括り方では異色なサンリオ。従来イメージ管理を徹底していたキャラクタービジネスにあって、縛りのゆるいライセンス販売によって世界中にキャラクターを溢れさせ、高収益事業へと転換した。

 


顧客が気づいていない価値を具体化する「市場創造型」- Creator

カメラといえば丁寧に扱うことが当然だったのに、装着型の小型ビデオカメラGoProが登場して以降、今までになかった角度からの映像が溢れ出した。スポーツする人が装着して撮影したりできるアクションカメラという市場が生まれ、急拡大した。
JINSは、モニターから出るブルーライトから目を守るパソコン用メガネという市場を創造した。映像で授業を見せる東進ハイスクール。レンタルビデオ店とは異なり、便利な立地を必要としないVODなどなど。

 


新たな事業モデルを作り出す「ビジネス創造型」- Developer

コインパーキング「タイムズ」を使って、カーシェアリングビジネスを始めたタイムズ24ショールーミングを加速させ、小売店からの広告とサイトへの誘導をお金に換えたカカクコム。スマホをアプリ販売プラットフォームにしたアップルなどなど。

 


バリューチェーンを見直す「プロセス改革型」- Arranger

一流シェフがいい食材でつくる料理を、狭いスペース立席方式で、安い価格で提供する「俺のシリーズ」。追加料金が発生しなければ精算もないので、引き算発想で宿泊料金を安くできる「スーパーホテル」など。


どれもがもっともだけど、「市場創造型」や「ビジネス創造型」という括りは従来からあるし、「プロセス改革型」なんかはアマゾン、もっと古くはトイザラスなんかの中抜きなんかで知られてるスタイルによるところが大きい。
この四分類という切り口ではなく、ゲーム・チェンジャーというなら、やはり秩序破壊型が最近顕著に目立ってきているんじゃないだろうか。しかも、「市場創造型」だって「ビジネス創造型」だって「プロセス改革型」にしても、強力なのは秩序を破壊している企業ばかり。

 


止まらない秩序破壊の流れ

JINS PCは私も持っているけれども、パソコンに向かってる時には付けていない。夏場、外を歩るく時に、ほぼ透明なサングラスとして使ってる。ブルーライトをカットというけれども、たぶんサングラスとそう変わらないと思う。商品機能としては、新しくない。
透明なサングラスなら他にもあるけれども、JINS PCにしたのは安くて単純な造りだから、気軽にカバンの中に放り込んでおけるし、ハンカチで拭いて傷がついても、まあいいやと思えるからだ。JINS PCに限らず、JINSの商品の造り、それから店の造り、販売方法は、従来のメガネメーカーや販売店にとっては脅威だろう。他からも似たような安い眼鏡店は出てきているけれど、医療品的に造ったり販売方法をしていた既存の業界からすれば、秩序破壊者。
アマゾンがあらゆる秩序を破壊しているのは、言うまでもないだろうし。カカクコムは儲けの仕組み以外、何も創造していない。古い言い方で言えば、他人のふんどしで商売しているだけだ。

だからこの本を読んでとても参考になるけれども、秩序破壊を社会はむしろ歓迎しているというところにもっと力点を置いた方がいいんじゃないかと思った。四フレームは、秩序立った説明には役に立っても、現在を理解するにはそれほど意味がないかも。
きっと取り上げられている企業にしても、自らが作った儲けの仕組みや秩序を壊すというリスキーな方向に進まないと、あっという間に新たなチャレンジャーに葬り去られてしまう時代なじゃないだろうか。秩序を壊す側に回らないと、壊された側はオワコンだと言われてしまう。

 


国家間の競争だって、秩序破壊が進みそう

このところを言われているのは、富裕層の海外脱出。シンガポールだけじゃなくて、株式などの売却益が非課税のニュージーランドシンガポール、香港、スイスに住む日本人永住者が増えているそうです。
富裕層、株売却益非課税国へ 日本人永住者2.6倍に

様々な税率の引き下げ合戦だって、国家間の秩序破壊。そこに日本だって参戦してるわけだし。法人税率の引き下げどころか、グルーバル企業のほとんどはタックスヘイブンを使って租税回避してる。個人や企業が、国家から逃走してる。

もっと身近なところでは、ふるさと納税の加熱するサービス合戦だって同じこと。
従来の概念では国として捉えられない、ISみたいな勢力だって台頭してる。徴税、安全保障、社会保障という国家の仕組みがアヤシくなっている日本にいると、従来の概念を強化する方向に行っているのは、最後のあがきのような気さえするな。

 

 

今日のBGM-375【Oasis - The Shock Of The Lightning 】

 

OasisのDig Out Your Soul。私は名盤だと思う。

ディグ・アウト・ユア・ソウル