デジタルは人間をパクるのか
『デジタルは人間を奪うのか』という本を読みました。タイトルが面白かったので昨年買ったのですが、最近まで放ったらかしで。
というのも人間を奪うのかっていう、ワザと言い回しに違和感を持たせて引っ掛けてるけど、ちょっと考えると仕事を奪うってことだろうと思い込んでました。読んでみると、仕事だけじゃなくて、人間を人間足らしめてる理由を奪うのかもねってニュアンスで、けっこう興味深かったです。
新書なので、それほど深く掘り下げはしてないけれども、俯瞰的にけっこう網羅されてて、電車内で読む分にはとてもいい。
各章のタイトルを読むと、内容はだいたい伝わるでしょう。
序章 デジタルの船からは、もはや降りられない
第1章 デジタル社会の光と影
第2章 モノのネット化で変わる生活
第3章 ロボットに仕事を奪われる日
第4章 仮想と現実の境界線が溶ける
第5章 脳と肉体にデジタルが融合する未来
第6章「考える葦」であり続ける
終章 デジタルは人間を奪うのか
かつてテクノポップが出て来たときに、デジタル思考かアナログ思考かみたいな話がもてはやされたけど、今やデジタルは細かすぎて、アナログとの区別がほとんどつかない。こういう言い方が適切かどうかはわからないけど、誰も、デジタルなしに暮らせなくなってるし、意識しなくてもデジタルまみれの生活をしてる。
だからまあ、この本に書いてあるようなことで「人間を奪う」というよりも、人間が人間ならではの能力を奪って金儲けしてるんだから、奪うのに、デジタルは主語にならないかもしれない。
あ、こんな書き方して、誰かに伝わるんだろうか(笑)
例えば計測するセンサーの精度が上がって、なんだって数値化できる。数値化できれば、再現することだって簡単だ。音楽やアプリとかウェブサービスは当然だけど、たとえば流行のバッグを解体して素材を、デザインを、縫製の仕方を調べて、同じものを造って売り出すのは簡単だ。何十年前だって、そんなことはしてたけど、名人の裁断や縫製の仕方を計測すれば、質もほぼ同等のものが出来上がってしまう。ひょっとしたら3Dプリンターはもうすぐ、そんなところまで進化してしまうかもしれない。
Apple watchが話題になってるけど、ウェアラブルで健康情報を継続してモニターすることによって、病気を抱えている人の生活の質を向上させることは可能だ。もちろんフィットネスと連動して、パフォーマンスの向上とか。
いや、そんなことだけならいいけど、今やセックスのデータまで取ろうとしているウェアラブル ウォッチまであるらしい。健康的な生活、パフォーマンスの向上を目指すんだとか。ランキングされたり偏差値出されちゃったら、何も幻想ないもんね。
マッチングという出会い系では、データ出すのが必須になるかもしれないし(笑)
いやもう、そこまで行っちゃったら相手はロボットの方がハイパフォーマンスだからってことにならない? ハイパフォーマーの数値を、コピーして再現するのなんて簡単でしょう。
だから私は「人間を奪う」の前に、「人間をパクる」があって、それはもうかなり進行してると思うんですけど。
今日のBGM-378【The Royal Concept - Digital Love (Daft Punk Cover)】