不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

[#MeToo]を自分の宣伝に使う人がいたって、ぜんぜんいいんじゃないの

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はあちゅうさんが、過去の著名クリエーターから受けたセクハラ・パワハラについて告発して以降、はてな界隈では大変なことになっている。

私のブログを読んでくれてるような人は、はてなはてなブックマークにあんまり興味ないだろうし、はあちゅうさんの名前も知らないかもしれない。だから経緯をカンタンに書きながら、#metooムーブメント、そしてはあちゅう告発をめぐる騒ぎには、ちょっと抜け落ちてるんじゃないの、ちがう視点も必要なんじゃない。と私が感じていることも書かせてください。

 

どうもセクハラ・パワハラという言葉が軽すぎないか

12月17日にBuzzfeedにこんな告発

これを読むとセクハラ・パワハラとなっているけど、そういうレベルなんだろうか。長々と抜粋します。

 

「本社に異動した頃、岸さんから『今すぐ飲みの場所に来い。手ぶらで来るな。可愛い女も一緒に連れてこい。お前みたいな利用価値のない人間には人の紹介くらいしかやれることはない』などと言われるようになりました」

「深夜に『俺の家にこれから来い』とも言われました。当時、私は田町に住んでおり、彼の自宅は浜松町だったので、歩ける距離にありました。突然電話がかかってきて、どこで何をしていようと、寝ていても『今から来られないのか』と言われました。『寝ていました』と言うと、行かないでも許してくれることもありましたが、翌日、『お前はこの会社には向いていない。CDC(岸氏が所属していた部署)にきたら深夜対応も当たり前だぞ』と言われました」

「『俺に気に入られる絶好のチャンスなのに体も使えないわけ? その程度の覚悟でうちの会社入ったの? お前にそれだけの特技あるの? お前の特技が何か言ってみろ』と性的な関係を要求されました。『お前みたいな顔も体もタイプじゃない。胸がない、色気がない。俺のつきあってきた女に比べると、お前の顔面は著しく劣っているが、俺に気に入れられているだけで幸運だと思え』と」

岸氏からのハラスメントから逃れたいと思ったはあちゅうさんは、岸氏の要求通り数名の友人を紹介した。「お前どうしてあんなしょうもない女紹介するんだよ。自分が何のために俺と知り合ったかなんもわかってないじゃないか。俺の偉大さちゃんと説明したの?」などと言われたこともあったという。

Buzz Feed Newsから

 

この告発に対して岸氏は謝罪します。理不尽なことをし、嫌な思いをさせた、とても苦しめたことを、お詫びしたいと。

だけど「理不尽」とか「嫌な思い」程度のことなんだろうか。

Buzzfeedの記事を読んでいると、電通という会社は、新人や下にいる人たちを奴隷のように扱っていて、それが当然のように通用している文化があるんじゃないと思ってしまう。

Buzzfeedは他の電通社員にも取材して、こう書いている。

 

インターン担当を岸氏がやっている年があったのですが、ある女子大生のインターンが終わり、内定を受けたあと、岸氏から『家に来ないか?』と電話があったようです。入社前の学生はどこに配属されるか不安です。岸氏はそれなりの立場がある人物なので、彼がキャスティングボートを握っているのではないかと思ってしまうのも無理はないです」

これだけでなく、別の年にはカンヌライオンズに当時インターンの女子大生を連れて行き、問題になったという。

これらの岸氏の行動は、人事やハラスメントの関係部署でも知られていたようだ。

 

そりゃあ岸氏は、はあちゅうさん以外にもやってるでしょうよ。

これって、法解釈がどうであれ、犯罪行為じゃないのか。労働法は、こういうことを許しているわけ? そして電通は、どうして平気だったのか?

 

元TBSワシントン支局長が就職相談絡みで酒を飲み、性的暴行で訴えられ、準強姦容疑で逮捕状が出た。成田空港で逮捕寸前に警視庁の上層部からストップが出たという疑惑の事件。

直前で逮捕を止めた警視庁の刑事部長は「女も就職の世話をしてほしいという思惑があったから飲みに行ったのであって所詮男女の揉め事」だと答えたという。

「山口敬之」を救った刑事部長の出世 菅官房長官からの絶大な信頼

 

 

この逮捕中止に裏がないなら、はあちゅうさんの件ならなおのこと、警察では「出世させてほしいという思惑があったから自宅に行ったのであって所詮男女の揉め事」だとされてしまうだろう。 

 

 

電通には従軍慰安婦と揶揄されるような人たちがいた

確かに雇用がらみの事件は多い。

DeNA採用担当者が就活女子大生をホテルに連れ込み(文春砲) 

保育最大手のJP、重大セクハラで辞任の元社長が「復帰」画策…

 

この手の事件は日本だけじゃないけれども、日本ではどうも法的にも社会的にもペナルティが弱く、抑止力が弱いように思える。

どの事件も、まるでAVかエロ小説みたいなストーリー。もしかして雇う側になると、妄想が刺激されるのか。それとも社会全体に、雇われたら滅私奉公でセクシャルな領域も多少は含まれるというコンセンサスでもあるのか。

 

私は団塊の世代以上には、確実にあると思う。

会社では男性社員が雑務をする必要はないとして、現役時代をおくって来た人たちはなかなか「男はエラい」から抜け出せない。そして自治会や地域コミュニティなどでも酔ってセクハラをする人たちは、少なからずいる。

そしてこの人たちの脳内の「男はエラい」では、さらに「男は地位」でヒエラルキーが形成されている。現役ではないのに、一部上場企業の役員だったとか課長だったとか、そういうプライドが定年後も続いている。

たとえば役所で病院で、聞かれてもいないのに「◯◯会社の部長だった」という人が大勢いるという。自分は社会的に価値ある人だから、丁寧に対応しろとでもいうように。

もちろん爺さんたちは生命の危険があるから、性的な妄想はそれほど膨らまないかもしれない。

 

著名クリエーター岸氏が、はあちゅうさんに言っているは、まるでそういう爺さんたちと同じじゃないか?

オレは価値ある人間だから、オレの前に来たら服を脱いで股を開く女が何人もいて当たり前だ。オレのところに連れてこい。みたいなね。

 

というか妄想じゃなくて、電通には外部から従軍慰安婦と言われるようなボンキュボーンなおねえさんたちを揃えてたんです。従軍慰安婦という呼び方が一般的かどうか、適切かどうかはわからないけど、確かグループの派遣会社などから、いわゆるキレイどころ、それも色気過剰な女性たちを。

クライアントに書類を届けさせるとか、そういう雑務のために。クライアントも、そういうおねえさんが来ると喜ぶ。私はクライアント側も下請け側も経験しているので、知っています。

女性の側にも、エリート電通マンと結婚したいと狙ってる人は大勢いたでしょう。

 

でもそういう人も、経費削減でどーんといなくなった。

岸氏がはあちゅうさんに傍若無人なことをしていたのは、そういうおねえさんたちがいなくなった後のことなんじゃないかと。

 

 

女性蔑視の風潮に、女性も加担している

だけどそういう女性たちを揃えていたのは、電通ほど露骨じゃなくても、かつて大手企業はどこだってやっていたでしょう。大手企業で「花嫁候補」を採用した過去のないところがあるでしょうか。

電通と五十歩百歩みたいなもんです。

別に余力がある企業なら、そういう採用方針も勝手ですし、採用される側も学校も「花嫁候補」だと理解しているんだから問題はなかったのでしょう。

 

ところがそういう価値観は、花嫁候補採用がなくなってからも、ずーっと続いているのだと思います。今だって派遣やパート、アルバイトという期間限定の採用で、仕事そのもののスキルや適性ではなく、若さや容姿で選んでいるでしょう。

 

大手の有名企業で育って来た人たちは、そんな至れり尽くせりで生まれたプライドや価値観が変わるでしょうか。大手企業に入れたのは、有名大学に進学したから。有名大学に合格できたのは、一生懸命勉強したから。一生懸命勉強したのは…

そして会社のブランドが効いて結婚した人は、自分が頑張ってきたからだ。我慢してきたからだということが確信として染み付いています。

だから定年退職しても、自分の最後の役職を振りかざすのです。

 

 

 

というか、有名企業で出世した人と結婚した女性は、どんな人でしょうか。たまたま結婚した相手が出世したというケースもあるでしょうけど、そんなのごく少数派。

確実性の高い相手を選んでいるのだから、好きだの嫌いだの前に条件があります。その打算的なところを「賢い私」だと思っています。そして打算で動かない、好きだ嫌いだで動く女性を「バカな女」だと思っています。

実際の結婚相手獲得競争は、大学生のときから始まっています。一流大学のテニスや広告研究会など軽いクラブサークルには、周囲の女子大などから女子力の高い女子大生が大勢入ってきます。近年でも強姦事件が起こっていますし、男子大学生からすればヤルためのサークル。

 

他方で、女子力の高くない女子大生も、たとえば登山部とかマジ度の高いクラブに入ってきます。ターゲットは理工系で、異性慣れしていない男子大学生。これを落とせば、将来の浮気もしない堅実な夫を手に入れることができます。

こういう手堅い女性たちは、日本の保守本流。ミセスワタナベの正体は、こういう人たち。と私は思っています。この人たちは、見た目も行動も女子力の高い女性を敵視しています。

まあ、こういうのは私の偏見ですけど(笑)

 

いずれにせよ一流大学に入学して、クラブサークルにでも入れば、どんな醜男でもモテを経験するのです。

 

 

婚活と言われはじめた時代になってからのマッチングは、まず条件によるスクリーニングが最初にあるなら、かつての打算的な価値観による結婚と同じ流れになっていませんか? 打算臭さを消すために広告では「運命の出会い」だと強調します。

打算的な人は、自分以上に上手に立ち回る人を許せません。

まあ、こういうのも私の偏見ですけど(笑)

 

もっと極端なことを言うなら、権力者に気に入られてなんぼ、と思っている女性は世代に関係なく、かなり多いでしょう。

コスモポリタンの編集長を30年以上もつとめたヘレン・ガーリー・ブラウンが書いた女性向けの本には、記憶があいまいですが、「二本の脚の間にあるもののおかげで、上司が私に優しくしてくれる」みたいな記述があって、驚いたことがあります。

だけど男社会の中で、野心のある女性が女性性を使って出世したっていいんじゃないと読みながら思いました。もちろん自分が厭じゃないなら、ですが。

コスモポリタンの編集長は、読んだ当時、むしろ楽しんでいるように感じました(笑)

 

 

仕事は役割を提供することか、すべてを捧げることか

いままでに何度も書いていますが、日本では採用時に職種名が書いてあっても、就職すれば職種以外のこともやって当たり前だとされます。分かりやすい例では時間給で働いているアルバイトパートであっても、会社やお店の行事、送別会や新年会へは参加することが義務化しているのではないでしょうか。

強制ではなかったとしても、参加しなければ付き合いの悪い人、協調性のない人としていじめの対象になるかもしれない。

 

団塊の世代なら、それこそ部長の引っ越しもやり、正月には課長宅へお年賀にも行った。みたいなことが普通にあったのでしょう。

この先、ますます進む少子化による人手不足は、雇用の考え方を変えるかもしれません。だけど大手では連綿と続くかもしれません。

 

はあちゅうさんの場合は、電通という世界有数の広告代理店内での出来事。就職できても、上司に気に入られなければ飼い殺しにしたり、グループや下請けに飛ばされるかもしれません。

逮捕を免れた元ワシントン支局長の場合は、たぶん人数の少ない職場でしょう。ここに採用されるのは、狭き門のはずです。

 

「女も就職の世話をしてほしいという思惑があったから飲みに行った」のは、その通りでも、飲むことイコール性的な関係の承諾とはめちゃめちゃ距離があります。

色んな批判があるようですが、飲むことイコール性的な関係の承諾なら、流行している相席屋はどうなるんでしょう。女性は無料で飲み放題食べ放題だそうです。レイプされても、所詮男女の揉め事だからですんじゃうんでしょうか。おおコワッ(笑)

世の中の現実の流れと、古い世界に住む人や法律とのギャップが大きすぎるのかも。

 

 

はあちゅうさんの告発は本の宣伝のためか

はあちゅうさんも色々と批判されているようですが、Buzzfeedの記事が12月17日。そして20日に本を出版されていることから、本の宣伝でしょうと言われています。

私も宣伝だと思います。でもだからって何? インフルエンサーというか、ネットで話題を広げることが彼女の仕事のキモなんだから、当たり前なんじゃない。だいたいタイトルが『「自分」を仕事にする生き方』なんだし。

 

 

話題を最大化することを考えてたんでしょうね。あざといと私は思いますよ。

でもそこが好き嫌いは別にして、自分は努力してきたから、苦労してきたから偉いんだ。女をセクハラやパワハラすることぐらい構わないと考えてる男たちより、100倍マシだわ。

 

立場を利用して強制する人に対抗したり復讐するのだって、告発して出版するぐらいしかないんじゃない。

電車で何か腹立つことがあって、無実の人を痴漢呼ばわりして逮捕させても、その女性はリスクなし。でも顔出して名前知られてて、マスメディアやネットで取り上げられたらリスクだらけだからね。嘘が含まれてたりすれば、ものすごいリスク。

全部本当で巨大なものに挑むなら、あざとくなきゃ、生きてけないわ。

 

 

今日のBGM463【Clean Bandit - Rather Be ft. Jess Glynne】

 

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