『女子をこじらせて』と『パリの女は産んでいる』を続けて読むと
最近、『女子をこじらせて』と『パリの女は産んでいる』を読んだ。『女子をこじらせて』は文庫本になっているのを買った。『パリの女は産んでいる』は2年以上前にハードカバーで買ってたんだけど、なぜだか読もうという気にならなかった。
続けて二冊を読むと、おっさんにはなかなかヘビーだ(笑)
『女子をこじらせて』には、恐怖しかなかった
著者は、AVライター雨宮まみさん。彼女によると、女性性に自信がない人がこじらせてるらしい。もちろんモテとかセックス面もあるけど、女子度の高い対応ができないっていう自分へのツッコミね。
雨宮さん自身、自分の女としての魅力を確認するためにAVの監督とまで付き合うんだから、ちょっともうこじれ方がハンパない。
読んでて思い出したのは、道玄坂のアパートで殺された東電OLだ。詳しくは知らないけど、仕事のあと渋谷で着替えて街に立ってたというんだから、女性性の闇は深い。
なんでそんなもん確認しなきゃいけないんだと思うけど、そこが恐ろしいところ。なんか精神的な自傷行為に近いんじゃないかと思った。
たぶん女性で多いのは、相手が悪いんだ。相手が変われば大丈夫だと思ってる人が、圧倒的に多いんじゃなんだろうか。私はぜんぜんそれでいいんじゃないのと思う。
私は読みながら自分の娘のことを「あいつは大丈夫か?」とつい想像しちゃったけど、いや、大丈夫過ぎる。あいつは、相手のせいにするはずだと安心した。ちょっとズル過ぎるけど(笑)
認められる標準とか基準なんて、ないんだわ
でも女らしいって、なに? それって、何か得なの、ぐらいに思ってていんじゃないのかと思う。ゆるふわの女子度が高い女性の方がモテるだろうけど、どれだけモテたって10股もかけられないし、複数からチヤホヤしてもらえるのが何年も続けられるわけでもないじゃない。
とりあえず一人からいいって言ってもらえるレベルなら、今の時代、誰でも大丈夫だと思うけど。世の中にはどんなマニアだっているし。探そうと思えば、たぶんネットで探せる。
いや、ことの人からじゃダメだとか、ひとりだけなんてイヤだというのは自意識でしょう。過剰な自意識は自分で飼いならすしかないし、飼いなさせないなら本を書いた著者のように開き直ればいい。こじらせてますけど、なにか? みたいな。
私は男だけど、男らしいってなんだよそれって常々思ってる。男にだって、男らしさをもとめるパブリックプレッシャーはある。私は子供のころから、男でしょと言われると「女ですぅー、女々しいんですー、へらへら」と返してた。武張った相手や場所によってはそうもできないときもあるけど、そういう場合は、はいはいと言うことを聞いていればいい。だってそんなの演技でしょう。
最近ネット上ではやたらと武張った人が目立つけど、肉体的にも精神的にも弱い人ほど、武張るのよね。現実の社会でもいるけど、実はマゾとか幼児プレイが好きなヘンタイなんじゃないのと、私は密かに思ってる。
そう、たいてい一貫したアイデンティティがあるわけじゃない。女ならこれぐらいはとか、認められるってことに標準とか基準ってないのよね。あると思うのは、ただの妄想。
『パリの女は産んでいる』も、けっこう恐怖
少子化に悩む先進国のなかで、唯一、出生率が上昇しているのがフランスだという。けっこう多岐に渡る内容なので、章のタイトルだけ、とりあえず先に列挙しておきます。
第一章 フランス女性は生涯現役
第二章 フランス出産事情
第三章 変わりゆく家族のかたち
第四章 フレンチ・ママのサポートシステム
第五章 大人中心のリラックス子育て
行政のサポートも国民の意識も、出産や子育てを支援する方向に向かってて、いやぁスゴいなと思う。日本みたいに、騒音を心配する住民からの抗議で保育園を作れないなんてことはないんだろう。日本は、というか東京の、特に地価の高い住宅街は産んだり育てたりさせるか、みたいな異常な状況になってるのかもしれない。住宅街の老害だけじゃなく、都心に向かう電車も同じだ。働いてる人が偉くて、赤ちゃん連れ子連れは邪魔だみたいな、いびつな社会。
こういう国民性というか社会のあり方は、もうしょうがない。日本人が自分たちで選択して、衰退する方向に向かってるんだから。生物として、滅びたがってるのかもね。動物としての本能が失われているのかもしれないし、社会自体がそれぐらいの超高齢化だということかもしれない。そこのところがフランスとは、ずいぶん違うということは分かった。
新生児の45%が婚外子
女性の意識としては、どうか。この本によると、子供を産むことが重大な決心を必要としていないのかもしれないし、この男の子供だからというところなのかもしれない。フランスでは新生児の45%が婚外子で、事実婚が多数を占めているというんだから。
要するに結婚制度が、もうとっくに壊れてる。当然、婚姻関係がないと法的に不利だということがフランスでは、圧倒的に少ないんだろう。日本でも相続に関して婚外子差別違憲判決が出たけど、自民党から『家族制度が守れるのか』と異論が出て、明治時代に出来た法律を守ろうとしている。というか、そういうことを言う人ほど、家庭が壊れてるのよね(笑) 政治家からして、本音では少子化をどうにかしようとは思ってないんだわ。
フランスで事実婚も、婚外子も多いのなら、国が認めるとか認めないとかいう筋合いのものじゃないというものじゃないんだろう。そりゃあね、恋愛や結婚って、国家とは関係ないもの。
むかし、ミニクーパーはフランスの大統領が自分で運転して愛人のところに行くようなクルマ。そんな風に紹介されてる文章を読んで、カッコエエーと思った。政治家に愛人がいたって誰も怒らないというのは、ものすごく個が確立した国民性。日本の政治家だと、秘書に運転させて行くでしょう。それって秘めてもいないし、お金の関係よね。日本で婚外子にはそんなイメージを持ってる人が少なくないんだわ。
パリの女は、子供を産むも産まないも、自分の意志。相手の男性が変わっても関係ない。たぶんこの本に登場するパリの女は、永遠の愛なんて信じてないし、男を必要とするのは必要な期間だけなんじゃないだろうか。そこまで自立しているのも、ちょっとなあとは思う。
婚姻制度はどうでもいいけど、男の側の意思が問われないぐらいだとなぁ。知らないうちの自分の子供が大きくなってたら、恐ろしいよ(笑)
そうだ、フランスでは「国家負担の産褥体操」というのもスゴい。以前から知っていたけど、詳しく書かれていてビックリ。産後のリハビリで、運動療法士の指導で骨盤底筋を鍛える。出産でゆるんだ骨盤底筋を鍛えないと、尿や便失禁、臓器下垂といった問題が出てくる場合もあるけど、一番は膣がゆるくなってしまうこと。
その鍛え方が詳しく書いてあって、本当にビックリ。ビビる(笑) 「フランス女性は生涯現役」は、そういうところも大きそうよね。
心をこじらせるもの困るけど、カラダをこじらせなきゃ、大きく人間性までこじらせることはないかもですよ。
あの、セックスってことばかりじゃなくて(笑)
パリの女は産んでいる―“恋愛大国フランス”に子供が増えた理由 (ポプラ文庫)
- 作者: 中島さおり
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どっちにしろ二冊とも赤裸裸だったりドストレートだったりするけど、こういうのって男にはなかなか書けないし、言えない。それだけ女の方が発散出来るし、ワリキリも早いってことなんじゃない。
女の方が、生き物として強い。
生物として、男性性の方がこじらせ具合はキッツイと思うな。
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