不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

紹介してないけど、これはいいよという本を、売り飛ばす前に

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年末の片付けをしていて、本も売りに行かなきゃと整理していて、あー、これはブログに書いてないけどオススメだわ。という本も何冊かあって、心残りなので売り飛ばす前に書いておきます。

 

 

変わらないために変わり続ける

『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』の分子生物学者・福岡伸一ハカセのエッセイ。サブタイトルは「マンハッタンで見つけた科学と芸術」。
ハカセにとってニューヨークは、研究者としての出発点なんだそうだ。『変わらないために変わり続ける』というタイトルは、動的平衡ということだし、ニューヨークの「ダイナミズムは、一切の固定、不変、滞留を許さない」もそう。
福岡ハカセの本を読むには、それなりの気合がいるけど、これはエッセーだから気楽に読める。対談本だって気楽に読めるけど、面白さが前面に出ていて、それほど得るものがなかったりする。だけど『変わらないために変わり続ける』は軽いのに深い。STAP細胞騒動のことが出てきて、あれ、なんか同情的なの?と思いきや‥ 軽妙に学べる。

 

『変わらないために変わり続ける』福岡伸一著

 

 

ビッグの終焉

もうビッグよる支配は終わったという本。終焉とは過激だけど、もう使命を終え、衰弱しつつあるというニュアンスだ。そのビッグとは、ビッグガバメント(国家・政府)、ビッグアーミー(軍組織・兵器システム)、ビッグカンパニー(大企業)、ビッグニュース(マスメディア)、ビッグパーティ(政党・利益集団)、ビッグファン(お抱え顧客主義・ポップアイドル主義)、ビッグマインド(ポピュリズム・大学組織・特定倫理)の7つに代表される。

そうかぁ。日本では国による統制主義的な動きが強まっているし、合併など規模の経済を追求する生き残り策もまだまだ進みそうだ。だけどそういうことすら、ビッグが使命を終えつつあること、支配を壊そうとする圧力を感じているからこそ、逆に大きくしよう支配力を高めようとする喘ぎかもしれない。
それがすべて「ラディカル・コネクティビティ」によるものとするのは、ちょっと違和感がある。たとえばわかりやすいところで、アメリカでも日本でもマクドナルドは衰弱しつつあるけど、それはチェーン店じゃない小さんなグルメバーガーがいっぱいできているからだろうか。それがSNSで広まってるからだろうか。
私は巨大なマクドナルドに、たぶん多くの人たちが飽きてるんじゃないかと思う。大きいところは、美味しいとか、カラダにいいとかとは無縁だという気分。ラディカルとかコネクティビティとか以前の話で。

 

『ビッグの終焉』ニコ・メレ著

 

 

脳科学は人格を変えられるか?

なぜ前向きな性格と後ろ向きな性格があるのだろう? 認知心理学と神経科学、遺伝学を組み合わせた先端的な研究を行うエレーヌ・フォックス博士による著作。博士はヨーロッパ最大の脳科学研究所を主宰しているということだけど、その割には手垢がついていたり、どうでもいい研究なんじゃないのと思う内容も出てくる。
とはいえ、これ一冊読むとかなり前向きであることの重要性を認識できる。ハウツー本ではないし、簡単にできることはそれほどないけど、「認識上のワクチンで脳を再教育する」とか「恐怖記憶消去の仕組み」など、驚くような手法にも言及されている。
遺伝子の作用はその人がどんな経験をしたかによって、生きている間じゅう変化しうる。驚きなのはこうした変化が、DNAの配列そのものに影響せずとも次世代に受け継がれるという、後生遺伝子学の話でも、これだけ詳しく書いてる本は初めてだ。

 

『脳科学は人格を変えられるか?』 エレーヌ・フォックス著

 

 

できる男はウンコがデカい

藤田紘一郎回虫博士による、身も蓋もないタイトルの本。内容はというとタイトル通り(笑)
「人の幸福感は、腸内細菌の量に相関する。幸せ物質であるセロトニンドーパミンは、腸内細菌が前駆物質を作っている」そうだ。腸は第二の脳と言うけれども、ちょっとびっくり。エレーヌ・フォックス博士の本にもそんなのは出てこないけど、幸福感は腸が、腸内細菌が作ってたらどうするよ。爽快さなら、脳よりウンコかもね(笑)

 

『できる男はウンコがデカい』 藤田紘一郎著

 

 

迷宮の花街 渋谷円山町

円山町は不思議な場所だ。なんか陰の気が満ちてる。その円山町の陰の気配に惹かれるように、大勢の人がやってくる渋谷。渋谷の顔は、表の喧騒だけじゃない。
一度、方向はこっちだからと円山町を横切ろうと知らない道を歩いていたら、ラブホテル街でもない異質な、たぶん非合法なものを扱う一角を通って、かなりビビった。昔は花街、そしてラブホテル街になり、今はライブのホールや映画館も立ち並ぶけど、底知れないエリアな感じがする。
私がこの本で読みたかったのは東電OL事件のこと。名称だけはやたらと聞くけど、どんなことか、ぜんぜん知らなかった。
慶応義塾大学を出て、総合職として東京電力に入社。当時エリート中のエリートだった彼女が、十数年後にはこの街で、風俗ヒエラルキーでも最低の立ちんぼをしていた。著者は、円山町で生きるいろんな女性に東電OLをどう思うかを聞いている。
殺害した犯人としてネパール人男性は、2012年に無罪が確定。いまだ真犯人はつかまっていない。闇が深い。

 

『迷宮の花街 渋谷円山町』 本橋信宏著

 

 

創造的脱力

創造的脱力って、カタいわ。サブタイトルの「かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論」が、ピッタリだ。著者は、現役女子高生の意見を取り入れる部署をつくった「鯖江市役所JK課」や、ニートばかりを募集して全員取締役にした「NEET株式会社」、週休4日で月収15万円の「ゆるい就職」など、ネタかというような活動ばかりをしている著者。

なんでそんなことをしているかというと、「壊すのではなく、ゆるめる」ことで、変革しようとしているらしい。
「さまざまな議論を聞いていると。従来の社会システムを完全否定し、全く新しい差し替えプランを新しい答えとして正面からぶつける二項対立の姿勢に偏りすぎているように感じます。これでは、現実を変えようにも、既存のシステムや勢力との衝突が起きるだけで、なにも変わりません」と著者は言う。
いやもう、素晴らしすぎる。全面的に賛成だわ。動いたり、動かすためには、ゆるくないとね。

 

『創造的脱力 』 若新雄純

 

 

未来に先回りする思考法

新しいことはなにも書いてないし、具体的な予測はまったく出てこないじゃないかと言いたくなるけど、著者のスタンスはシャープだ。
「未来を具体的に予測しても、それが私たちが生きている間に実現する確率や可能性までは考慮されていないからです。また、目まぐるしく変化している状況に対する応用も一切効きません」「大まかに進む方向性さえ見えていれば、後はその未来をしかるべきプレイヤーが埋めていくのは間違いありません」という。
そうそう。だから新しい利に聡いプレイヤーを見ていれば、だいたいどうなっていくは、わかると思う。問題は、その手のプレイヤーが皆、同じことをしていて、異なる軸がないってことね。未来がどうなるかってことに、いくら経済と政治が同じになるといったって、確実そうな儲けという利益よりも、社会的意義を追求する利益だって、もっと考えた方がいいんじゃないのと思う。
しかしこの本でのディープラーニングの紹介の仕方など、すっげえ切れるなと思えるところいっぱいる。


前にこっちにも少し書いているので、読んでみてください。
人工知能は、人類最悪にして最後の発明か?

 

『未来に先回りする思考法』 佐藤航陽著

 

 

今日のBGM-403【Basement Jaxx - Never Say Never ft. ETML】

 

日本で、ヒップを上下左右に動かすダンスTwerkするロボットを開発するというストーリー仕立て(笑)

 

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