ネット企業は、どうしてパクリが大好きなのか
ある知り合いの作家のブログを読んでいて、う〜んいい文章だな。具体的になにかを得られるわけじゃないけど、読んでいて気持ちがいいわ。これは、どういうことだろうと思って、本人にお会いしたときに聞いてみた。
もしかして、SEOとかぜんぜん意識してないでしょ? ブログ書く目的って、持ってないんじゃないですか?と。そしたら「SEOって、なんですか? 言葉としては知ってるけど、ほとんど意味を知らないです」と返って来た(笑) そっか、そうなんだ。だから、素直ないい文章なんだ。
本も出されてるけど、ブログはその宣伝じゃないし、アフェリエイト広告もない。
私もこの個人的なブログで、SEOとかまったく意識してなかった。ところがいつからか、タイトルがやたらと長くなり、気がつくと、それなりに最低限のアクセスがありそうなテーマを選んだり、書き方がみょーになってきた(笑)
なんか、あざとい。役に立たないことばっかり書いてる割には、いやらしいわ。
いやだって、アクセスが伸びないと書いてたってしょうがないしね。だから『読み終えた本』という別ブログを削除した。
その一方で、どんどん、薄汚れて来た気がする(笑)
ネット企業は、認識が甘いのか。それとも最初から、いかがわしいのか
昨日、DeNAのCEOや役員が、謝罪会見を行った。医療・ヘルスケアで「WELQ」で肩こりは霊がついてるとかデマ記事を量産したり、医者のブログをパクって引用改ざんしたりしたことから大騒動になって、すべてのキュレーションメディアの記事を非公開にした。
Techchrunchにインタビューでは、こう答えられている。
「医療情報を取り扱っているけれどもエビデンスがない」という状況は認識していました。「あとの対応でもいい」と思ったのはすごく甘かったですね。
ふーん、甘いって程度なんだろうか。今、DeNAは遺伝子検査サービスの広告をめちゃめちゃ打ってるんだけど。これは、まともなんだろうか。頭の画像は、このサービスのチラシね。
最近WIREDが、遺伝子検査のセラノスは医療専門家の意見を無視し続けてきた詐欺だったと報じた記事を出してるけど、DeNAはセラノスに影響されて、遺伝子検査に進出したんじゃないの?
遺伝子検査サービスも手がける会社が、エビデンスのない医療情報をキュレーションするのは、甘いっていうレベルなの?
厚生労働省は出ていかなくて、大丈夫なのか。
Techcrunchの記事に戻ると、守安社長は、運営の実態について
DAU(デイリーアクティブユーザー)やMAU(月間アクティブユーザー)、売上といった数字の把握はしていました。あとは「SEOを重視していく」という方針は(自身が)出していたので、SEOを軸にしてメディアをグロースさせていく運営手法も知っていました。
ただ、どうやって記事を作っているのか、どういったオペレーションで回しているのか…現場に近い部分は「クラウドソーシングサービスを使っている」ということ程度で、細かい部分までは把握していませんでした。
どうも、詳しいことは知らないってことみたいね。ただ自分自身が内容よりSEOだというニュアンスで方針を出してたとすれば、まともな医療や美容の記事になるわけないじゃん。
しかもクラウドソーシングで記事を書かせてたわけでしょう。どうなるかわかりそうなもんだけど。
ネット上にあるコンテンツを著作権に抵触しないようにリライトするマニュアルを用意していたことは、そもそもスレスレだという認識があるわけで。
社長
「SEOでどんどんアクセス稼げ。利益目標はこれだからな」
↓
社内P
「クラウドソーシング使って、とにかく量産します。チェックは社外Dの責任で」
↓
社外D
「こんな金額でチェックなんてしてらんない。パクリなら元が信憑性あるでしょ」
↓
社外ライター
「ラーメンも食べられない金額かよ!? <肩こりは霊のしわざかもね>でオッケーだww」
こんな風な流れだと、社長会長以下、社内の人間の責任はない。悪いのは、社外の人間だということにされかねないけど、それは本当に経営陣以下、社内の責任ではないんだろうか。
クラウドソーシングだって、アヤシイ案件がいっぱいあることは知っているはず。だけどランサーズやクラウドワークスだって、うちは法令遵守していまし、違法なものは扱いません。ただ個別案件の詳細については把握しておりません。場所を提供しているだけですと言うだろう。
キュレーションメディアと言ったところで、何かを伝えたいわけでもないし、ライターに書きたいことがあるわけじゃない。
つまりは、ただのプラットホームですからってことね。
プラットフォームが力を持つには、大量の利用者が必要。大量の利用者がいるなら、現実社会ならターミナル駅にはトイレもあるし、鉄道公安官がいたりするけど、ネットのプラットフォームにはない。事故が起こるのは、わかりきってる。
あるのは、アルゴリズムによる取り締まりぐらい。
あまりにもあまり、なので12/9追記
女性向けキュレーションサイトの記事量産の仕組みがバラされました。記事を書いていた大学生に、withnewsがインタビューしています。キュレーターと呼ばれた100人以上のインターン生、渋谷の雑居ビルに集め、90分に1本をノルマに書かせていたと。
内容はクラウドソーシング使うより、もっとエグかった。女子大生は就活のときに役立つ大手企業のバイトだと思ってインターンした。でも実態は…
読んでると、なんか養鶏場で、インチキ卵を産んでるような絵が浮かんできた。
この記事によると、SEOに関しては、書き方のマニュアルを渡され
たとえば「△△温泉めぐりで行くべき10選」という記事を書くとします。
地名やテーマパーク名、飲食店名、食べ物名に加え、「女子旅」「カワイイ」「オシャレ」「スイーツ」など、女子が好むあらかじめ用意されたキーワードを「タグ付け」していき、それに合わせてインスタグラムなどから画像を見つけ、引用という一文を添えてバシバシ貼り付けたそうです。
という作り方だったそうだす。
ということは、このインスタからの引用は、インスタの投稿そのものの埋め込みではなく、画像のパクリ? どこからかクレームが来て、インスタの画像が使えなくなったとあるので、たぶんそうでしょう。
SEO手法で明らかなのは、検索されやすいキーワードのタグ付けをしてたってことですね。一般的にSEOといえば記事内容に関係のないキーワードで引っかけても、瞬間的に閉じられてしまう、他のページやサイトに行かれてしまうだけなので倫理的かどうか以前にやらない。
でも広告モデルなら、それでも儲かる。ってことでしょうか。
パクリ記事を作っているという意識はなかったの? と聞くと、「そう言われればそうだなという気持ちはあります」
「でも、引用元を記せばOKというルールだったし。社員さんの指示に思考停止状態だったというか、深く考えなかったです」と話します。
この女子大生の責任じゃないでしょ。大手が「引用元さえ記せばOK」 にしてれば、ほとんどの人はOKだと思いますよね。だってまとめサイトなんて、ほとんどそうなんだから。
だけど現場の暴走とか、そんなのじゃなくて会社ぐるみ。しかもDeNAだけじゃなく、どこまで限りなく違法なことを、告発されたり引っかからずにやれるかという、大手まとめサイト間の競争だという気がします。
追記終わり
Googleは、コンプライアンスやネット健全化の守護者か?
アルゴリズムによる取り締まりといえば、なんといってもGoogle。「このサイトは危険です」みたいなところから始まって、サイトがコピーされたものじゃないかとか、いろいろとネット上を巡回してる。
ところが、DeNAが用意していたマニュアルみたいなものは法的に著作権に抵触しないだけじゃなく、Googleへの対策もできてしまう。ましてや、圧倒的なアクセス数になれば、パクった側のサイトが上位に来てしまう。NEVERまとめじゃないけど、常に化かしあいだし、圧倒的なアクセス数があれば、Googleは認めてしまうみたいだ。
どころかGoogle自体が著作権や様々な権利を侵害するかしないか、ギリギリのところを常にサービスとして開発している。
Googleストリートビューは、個人のプライバシーを侵害していないかどうか。Youtubeの映像や音楽は著作権や肖像権を侵していないか。アルゴリズムによって、自主規制はあるみたいだけど、基本は侵害された人がGoogleに連絡して、証明しなきゃいけない。
そんなアホな。個人が自分の権利が侵されていないか、ネット中を調べ回るわけ? そんなの不可能じゃんと思うけど、ほぼそういうネット社会になってる。
DeNAのWELQにパクられて、間違った情報に改ざんされた医師は、患者が間違ったヤケドの処置をしていたから「なぜ、そんなことしてる?」と聞いた。患者は「先生がブログで書いてるじゃん」と言われ、はじめて知ったという。
そりゃあ医者ならそんな可能性もあるだろうけど、一般人だとほぼあり得ない偶然。
ネット企業は、大手ほどいかがわしいと思って間違いない?
医療情報は法律もあるし、リライトだって危険過ぎるけど、それ以外ならパクっても、ちょっと変えれば問題ない?
ほとんどのネット企業は、たぶんそう思ってる。今回のDeNA問題を受けて、リクルートやサイバーエージェントのまとめサイトも閉鎖されたという。
ほかにもいっぱいあると思うけど、運営側はスレスレなのを承知してて、本心では問題になったら引っ込めればいいと考えてる。だってアクセスが爆発的にならないと、広告収入で儲からないよ。その競争なんだから、ネットからパクるしかないじゃん。量も必要なんだし、勝手に引用して、それがなにか?
ぐらいなんだろうと思う。
この手のパクリとか、ニセの情報がネット上でプラットフォームの優位なポジションで出回るから、問題が発覚しないと、どんどん拡大して行く。コンプライアンスは法令遵守じゃなく、法律にふれなければ何をしてもいい。ギリギリを狙って、どこかが告発されたらいち早く逃げればいいんだよと。
どこかの農家が作った果物を、収穫時期の直前に盗みに行って、ローカルな駅前とかで販売する暴力団。それを知ると、ひでー。人でなしだと多くの人が思う。
でもネット上のパクリだと、人でなしだと思う人は少ないのよね。
果物扱ったことのない素人だから、パクったあと腐らせちゃって、有害な腐ったのを売ってた。というのが、今回の騒動なんだけどね。
とまあ、こんなことをこんな風に書いてるから、私もどんどん薄汚れて行くわ(笑)
今日のBGM435【The Rolling Stones - Doom And Gloom】
新作が出て盛り上がってるけど、私はこっちの方が好きだわ。
50周年記念ベスト・アルバムに入った新曲
Amazon - Grrr! / ザ・ローリング・ストーンズ