ホリエモンは「大手飲食チェーンは個人店に勝てなくなった」という言うけど、本当だろうか
私も好きでよく見ているYoutubeのホリエモンチャンネル。そこに『堀江貴文のQ&A vol.514〜個人店には敵わない!?〜』が出てた。
質問は面白く、カンタンにいうと「小売業や飲食チェーンはどうして場所や時間によって販売価格を変えないのか。家賃や人件費の高い場所と低い場所があるはずなのに」というもの。
ホントだわ。どうしてだろと思ってたら、今回のホリエモンの答えも、派生したトークは えっ?というものだった。
チェーンは価格を共通にしておかないと、例えばメニューの価格を変えるのが手間だとか、そんな理由じゃないのかなという答え。
経理的なシステムの問題はあるのかもしれないけど、デザイン上のメニューの差し替えなんて、商品の差し替えだっていっぱいある。
無印などの小売業は、ネット通販もあるのでいちいち変えていたら、ナショナルチェーンとして価格の正当性が疑われるということなんじゃないかなと思う。
ネットは店舗の家賃がかからないから安いですよということが出来ても、田舎だから高いなんてやってたら、騒動になっちゃうよね。鳥取のスタバは3割増とか(笑) 知事まで出てきそうだわ。
『堀江貴文のQ&A vol.514〜個人店には敵わない!?〜』
ホリエモンは、飲食店は食べログのようなサイトやアプリが出てきて、とりあえずワタミに入っとけば大丈夫なんていうのがなくなった。安くておいしい店がカンタンに検索出来る。
また個人経営は、長時間労働なんて家族がやってれば関係ない。ラーメン店はスープの仕込みに10時間もかかったりするけど、経営者本人がやるなら労基法無視でできる。大手チェーンはどうしたって不利だという。
ラーメン店… うーんラーメン店は確かにそんな気がするけど…
長時間労働はともかく、それ以外では個人店が有利な条件はほとんどない。と私は思うんだけど。
食材コストの上昇がハンパない
個人店が仕入れコストの上昇にどう対抗出来るんだろうか。儲からなくても長時間労働でやる。という個人店はともかく、それなりの儲けを出そうとしたら、原価率を適正な水準に保つ必要がある。
最近、
家庭用ソースやパン、パスタ類、乳製品それにチョコレートまで値上げが相次いでるけど、それは業務用だって同じ。
まず理由はアベノミクスによる円安だ。それに人件費や電力料金など。こないだモスバーガーに行ったら値上げのお知らせが出ててビックリしたけど、最大なんと70円アップ。約2割の値上げ。大手チェーンではモスだけが大幅値上げしてるということだけど、他のファストフードでは量を減らして実質値上げしているらしい。
食品業界の人から聞いたところでは、牛肉の価格が上昇していて、マクドナルド以外のチェーンは、量を減らし続けているという。マクドナルドだけが唯一持ちこたえているということだけど、昨年そのマクドナルドもポテトが品薄になっていた。この理由は、アメリカ西海岸の湾岸労働者の長期間のストだという。船が出ないので、出荷出来ないと。
牛肉の価格が上がっているのは、中国人が牛肉を食べるようになったので、オージービーフなどを筆頭に値上がりしているそうだ。
かつてはチーズがそう言われた。
たとえばこういう事態に、個人経営のグルメバーガーはどう対抗できるだろうか。経営者に客の顔が見えてるだけに、値上げはなかなか難しいだろうし。
実際、大手チェーン店じゃなければ、仕入れルートも限られる。珍しい食材が品薄になったりすれば、値上げどころか仕入れさえも困難になる。と思うんだけど。
仕入れ価格の上昇は、当分のあいだ、どうにもならないだろう。
個人経営店が、どれだけあるんだろう
そもそもホリエモンのいう個人店って、ほとんどないんじゃないの。都心で居酒屋だとそんなひとり3000円なんて店じゃなくて、高級店だけでしょ。と思ってた。
それぐらいオープンデータであるでしょと検索してみたら、総務省のデータがあった。
これによるとラーメン店の62.8%が個人経営。個人以外は37.2%になっている。もしかすると個人経営の中にはフランチャイズも含まれるかもしれないけど、私が想像したような「個人店なんてほとんどない」ってことはなさそうだ。
ただ喫茶店を見ると個人が81.3%になっている。いくらなんでも東京じゃありえない。よほどの下町か郊外じゃないと、個人経営の喫茶店なんて見つけられない。だから全国の数字と東京では、かなりの乖離がありそうだけど、私がわかるのはあくまでも東京周辺だし、中心は都心だ。というエクスキューズを入れといて。
だけどラーメン屋の8割が3年で消えると言われてないか
どこで聞いたんだっけなと思って検索したら、こういうタイトルの本があったんだ(笑)
これもオープンデータでないのか探してみたが、もろラーメン屋なんて、それはないよね。そもそも日本の開業率は先進国中で最も低い。廃業率も最も低いと言われている。つまり新陳代謝が悪いってことだ。
でも実感ベースだと、都心のラーメン屋は次々に出来ていて、でも3年以上続いてるところなんて、そうそうないって感じしません?
先日仕事関係の人と歩いていたら、このラーメン屋は2年前ぐらいまでは行列ができてたんだけどね。あっちのラーメン屋ができたら、こんどは行列があっちにできるようになって。いまやどっちもあんまり流行ってないんだよね。と教えてくれた。
そうそう、そういうことだよ。ラーメン屋に限らず、似たような現象はどこでも見ることができる。
お客は移り気だ。
いや、たぶん10年ほど前までは、男性の場合はそんなに移り気じゃなかった。ランチに行くといえば、せいぜい4~5店舗。馴染みの店を回していく。飲みに行くのも、会社や仕事関係が多いから、馴染みの店。重要な接待があると、あたらしい店を探すぐらいで。
一方女性は、ランチでもあたらしい店ができればそこに行ってみる。夜もあたらしい店の開拓に熱心だ。
どうして? 女性はそもそも浮気性なのか。
食はイベントになった。食事じゃなくて、手軽な体験になった
もちろん潰れる店が多くなり、あたらしい店ができる。再開発で一新されるということもある。どうして食べログで店を探すかというと、条件に合致するところ以前に、多くの人は、あたらしい店を開拓したいからじゃないかと思う。
フェイスブックやインスタグラムに写真を投稿できるかどうかだってあるし。いつもの店じゃ投稿できないもんね。投稿しなくたって、高級店ならともかく、古い店馴染みの店しか行かないというのは高齢者以外、ありえなくなった。
食べに行くのは、餌を摂取しに行くんじゃなくて、ちょっとわくわくする体験。体験の必須条件は、未体験ということ。創作料理じゃなくたって、あたらしい店なら、ラーメン屋でもパンケーキでも間違いなく未体験。だからいまやおっさんまで嬉々として、あたらしい店に並ぶ。
と私は思うんですけど、どうでしょう。
私だって昼はペヤングやカップヌードルやコンビニ弁当や立ち食いそばで済ませる時が大半だけど、たまには未体験の店に嬉々として行ってるもんなぁ。
問題は摂取しました的なことと体験的な食事とでは、使う金額がぜんぜんちがう。その差が年々拡大してないか。もちろんペヤング再発売だって、未体験ではあるんだけど、そんな体験が安くできる機会は滅多にない。
ファミリーレストランができた当時は、家族で食べに行くのが贅沢なイベントだったと言われる。それがいまやガストでさえフォアグラを出したりしてイベント化したりと、餌化から逃げるのに必死でしょう。デニーズだって、高級化にシフトし始めてるし。
それでもファミレスという場所が、多くの家族にとってイベントになる存在に返り咲くのは難しいだろう。
そうすると飲食店は新店を出して行列させて、短い年数で潰すというビジネスモデルが当たり前になる。これって昔から、ディスコやクラブのビジネスモデルよね。あらかじめ潰すことは予定されてる。
こういう変わり身は大手なら組み込めても、個人だと難しい気がするな。
今日のBGM-387【Giorgio Moroder - Tom's Diner ft. Britney Spears】
ジョルジオ・モロダー 74歳! やるなぁ。
このダサジャケットじゃなきゃ、買ってるわ。