仮想通貨やブロックチェーンより先に、クレジットカードが世界を変えてるのかもね
AIに仕事が奪われるとか、そんな話題がかしましい。でもAIによる影響が出るより前から、大きく変わってるのかもねと私が思っているのが、クレジットカードだ。仮想通貨も重要だけど、日本では国が東京三菱銀行と組んで何か企んでそうだけど、一般に普及するかどうかはわからない。
雑誌WIREDが『ブロックチェーンは世界を変える』という特集を組んだ。仮想通貨、ブロックチェーンは確かに注目のホットワードかもしれない。
Amazon - WIRED Vol.25 特集 ブロックチェーンは世界を変える
でも仮想通貨は使う人が増えなきゃ話にならない。クレジットカードなら誰だって使ってる。ましてやAIが様々な与信の判断に入ってきたら、とんでもなく激変しそうだ。
与信って、要するにカード会社が、あなたにはここまでの金額までなら使っていいよという判断。銀行で家を買う・マンションを買うとかで借金をしたいとなると、なにより物件の価値が問題になる。個人の信用度は、極論すれば金融資産や不動産をどれぐらい持ってるか、だけ。誠実に、今まで積み立て預金をしていますとか、一流企業に勤めていますなんてことはほぼ関係ないし、判断までに時間がかかる。
クレジットカード会社は、今までの使った金額と引き落としに問題なかったかどうかが基準。だからとんでもない不誠実なヤツだって、仕事で海外出張を繰り返しているとブラックカードを持っていたりする。資産のない芸能人だって、そう。信用する基準が違う。
アメリカ企業が、クレジットカードで支払えないかと言ってきた
今年に入って、ちょくちょく取引のある会社から「アメリカが依頼してきたんだけど、やってくれ」という話があった。仕事が終わって、請求方法に関しての連絡がきた時A社ジャパンから「A社から、クレジットカードで直接支払えないかと言われてるんだけど、どう?」と聞かれた。
え? アメリカの本社と取引するの? 請求金額は10数万なのに? 英語で直接やり取りするの? あ、お金は直接じゃなくクレジットカード会社を経由するわけね。
モノじゃなくてサービスの料金だし、アメリカとお金のやり取りが発生したら、それは輸出になるの? レートは? 消費税は? 経理処理はどうすんの?とか疑問が次々に出てくる。
うちの会社、輸出なんてしたことないし、私もない。超ローカルの完結仕事しかない。そんな金額で、ややこしいことやってられるかよと思って、A社ジャパンを経由しての支払いにしてもらった。
だけどOKしてたら、どういう仕組みで請求するんだろとまた疑問が。あ、たぶんPayPalか、その手のサービスだな、と思った。担当者にそれとなく聞いてみたけど、初めてのことだし、その手のことにとても疎い人だから話にならない。
A社がクレジットカードで払えないかと言ってきた理由。メリットを考えると、きっと経理の仕組みを簡単にしたいんだろうなと。通常、日本では企業間取引にクレジットカードを使ったりしない。初めての取引なら、口座を開くとか言って、取引相手のことを調べたりする。ちゃんと払ってくれる相手か、払っても大丈夫な相手かとか。たとえば払う側としても、発注先が反社会的勢力だったりすると困ったことになるし、無制限に取引先を増やすと経理的な手間が増える。
それがクレジットカードになるとどうなるか。海外との取引で為替レートが変わっても、払う側としてはまったく平気だ。反社会的勢力かどうかはわからないけど、クレジットカード会社がOKすれば確実に支払われる。そして取引データはデジタルデータでやってくる。すべての取引がクレジットカードを使い、オンラインで経理システムと連携すれば、仕訳から税金の扱いまで、人が関与しないでも終わってしまう。最終的に出てきた決算に関しても、税務署が文句をつける余地はない。はず。
銀行は、クレジット会社ほど融通がきく仕組みじゃない?
いやいや銀行だって、インターネットバンキングでやって、クラウドの経理サービスとだってつなぐことができるじゃん。という意見もあるだろう。でも書いてるとキリがないけど、たとえば口座に金がなければ、銀行から振り込みをすることはできないよ。クレジットカードなら、今まで引き落としに問題がなければ、現在銀行口座の残高がゼロでも支払いはできる。ローンとか、そういうことじゃなくて。
なぜクレジットだとそんなことが可能かというと、実際の支払いまでにタイムラグがあるし、与信の考え方や蓄積している情報もノウハウも違うからだという気がする。
先日、大学生から「デビットカードで支払えないサイト多いですよ。アマゾンはできますけど」みたいな話を聞いて驚いた。私はデビットカードのことをまったく知らないし、それまで気にもしていなかった。VISAデビットって言ってるから、クレジットカードと同じと思ってた。銀行口座の残高と連動してるんだから、事故はないわけでしょ。クレジットカードより確実じゃん、ぐらいのイメージを持ってたけど、銀行口座の残高と連携ということが、逆に不自由なのだろう。
そういえばクレジットカードを作れない人でも、デビットカードなら可能だという話を聞いた。
無店舗販売でも、決済できてしまうクレジットカードの仕組み
現実のAppleStoreを使ったことある人なら、iPhoneにカードリーダーをつけてクレジットカードをシュッと通して、指で画面にサインを書いて決済してしまう仕組みを経験したことがあるだろう。販売スタッフ一人ひとりがレジになってしまうやつね。私はあれをカッコエエーと思っているんだけど、AppleStore以外で経験したことがない。
でもあの仕組みは、無店舗販売、たとえば代々木公園でやってるフリーマーケットで古着の販売なんかにも使えてしまう。他にもあるかもしれないけど、Squareというサービスがそう。
ホームページをさっと見ても書いてないし、誰からもそんな話は聞かないけど、私はSquareで無店舗販売が可能なのは、GPSで位置情報を把握していることがキモなんだと思う。SquareはiPhoneの位置情報サービスをオンにして利用させないと使えない。
なぜキモかというと、ああ、この場所で利用したんだなという情報を得て満足してるというんじゃなくて、この場所でクレジットカードを利用することが、取引として不自然かどうかを判断しているんだと思う。Squareが判断するんじゃなくて、クレジットカード会社がね。そういう判断をするためのアルゴリズムは、どんどん進化しているはず。
昔々、私が秋葉原でパソコンの周辺機器を買ってきたら、家にカード会社から「今日、秋葉原で買い物されましたか?」と電話がかかってきて驚いた。そのころは偽造カードが流行っていて、福岡の人のカードが行ってもいない札幌で使われたなんて事件が、よく報道されていた。カード会社のアルゴリズムは、私が秋葉原でカードを使うなんて不自然だと判断したんだろう。精度だって、どんどん進化しているはず。
ブロックチェーンは、正当性をみんなで監視しあうシステムらしい
クレジットカードを利用すると、カード会社がその取引/トランザクションの妥当性を判断し、そのリスクを引き受ける。ところが仮想通貨による取引が成立するのは、その人が仮想通貨をどれだけ持っているか、過去の取引がどうだったかがオープンになっているから、可能なのだという。
つまり権威ある中央銀行が発行する通貨じゃなくても、お互いに監視して、妥当性を担保するのだそう。だから、「ヴァーチャル国家」で国家消滅とか、会社消滅みたいなコンセプトが見えてきて、それは面白いとWIREDが特集したんだそう。
いやぁ、それはスゴイ話だな。勉強しないととは思うけれども、最初に書いたように仮想通貨をどれだけの人が使うんだろうというハードルがある。ビットコインなんて、アヤシイじゃんと多くの人が思ってる。ちょっと知ってもオープンな帳簿という発明はスゴイけど、誰かが操作してるんじゃないのとか。
私も確かにいろいろなことが、国家消滅とか、会社消滅みたいな方向に向かってるとは思う。だけどそこで出てくるコンセプトも、多くのことはクレジットカード会社が実現しちゃってるんじゃないの。
A社が言ってきたことも、世界中で展開している企業だけど、たぶん本社機能は少人数で回してるんだろう。そのときの最安のもの、最適なものをその都度利用しようとすれば、ネットが中心になるし、クレジットカードでの取引が、現実的なのかもしれない。法人のクレジットカードだって、個人に紐付いてる。
国家消滅とか、会社消滅みたいな近未来のコンセプトは、クレジットカードが一部で実現し始めてるんじゃないのと私は思うんですけど。
今日のBGM-428【David Byrne - Road To Nowhere】
いったい私たちは、どこへ行くんでしょう
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