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不透明なチカラですが、なにか?

テーマはいろいろ。というか絞れません。2013年7月以前は他のブログサービスからインポートしたので、リンクや画像等がなくなってるかもしれません。

この一冊だけ読んどけばいいという、読まなくてもいい本の読書案内本

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書店で『「読まなくてもいい本」の読書案内』を見かけたとき、なんだよこのタイトルは?と思った。著者は橘玲さんだから、読む価値のない本批判じゃないとは思ったけど、読んでみてびっくり。
サブタイトルにー知の最前線を5日間で探検するーと書いてあるけど、見事に今知っておくべき知がまとめられている。

 

 

帯には「人生でもっとも貴重な資源は時間」と書いてあるけど、その通りだわ。私も、そこそこ本は読むけど、なんだかなぁと思ってしまう本がどんどん増えてる。薄い新書でもいい本はけっこうあるけれども、ハズレはかなり多い。そんなことから最近は分厚めの本を読むことが多いけど、翻訳物とか、どうでもいい歴史が水増ししてあったりして、主題はいいのにここまで分厚くする必要ないだろとムカツクことも少なくない。私が本を読むのは基本電車の中だから、分厚い本は重いし高いし、勘弁してくれだ。

 

装丁まで含めて本好きの私が思うんだから、よほどの事態だ。出版側からは「本は著者や編集者が責任もって~」とかネットに比べて確実性を訴えたり、図書館で新刊を扱うから売れなくなるとか、いろいろ外に原因を求めてるけど、それだけじゃないんだわ。出版業界は、自滅しつつある気がする。


著者は、単純に出版点数が増えたという。自分の大学時代には「読むべき本」がだいたい決まっていた。ところがいまはもう<共通の>読んだ本をもとに議論することができないという。

そうそう、議論どころか、本のことが話題になることすらない。


でね、著者の主張は「二十世紀半ばから半世紀で“知のビックバン”が起こった」「古いパラダイムで書かれた本を読んでもしょうがない」「ビックバンの原動力になっているのは複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学などで、これがわかれば知の最前線に効率的に到達できる」というもの。

 


複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学に功利主義をプラスして、5つのジャンルで駆け足で今の最前線までがまとめられている。このまとめ方は見事で。知らなかったことも含めて、全面的にそうだよね、そうなんだと同感できる。
より知りたい人には、それぞれ章の最後にブックガイドがまとめられているけれども、効率的に最前線を知りたいなら他の本を読む必要はない。おっさんで、それなりに本を読んでる人は、『読まなくてもいい本」の読書案内』の信憑性を判断するために読んでみればいい。


私は進化論のブックガイドで爆笑した。かつてけっこう人気になった竹内久美子さんに対する言及。「動物行動学者とはとても言えない」と書かれていた。いやいや、そうよ。私は好きだけど、竹内さんは面白おかしかっただけよ。著書によっては素人が読んでも、動物行動学者どころか学者ですらないでしょと思える。
合コンネタみたいなことだって知ってたら楽しいじゃないと思うけど、信じちゃう人もいるからね。

 

私はバカ本だって好きだし、どんどん出版して欲しいと思うけれども減少の一途。減っているのに、あたらしいバカ本を書く著者で当たりの人に巡り会うのはいまや至難の業だ。ましてや知に関するものは、パクリや劣化コピー本も腐るほどある。買った本がハズレだと、時間もお金もけっこうキツイ。そんなのはネットで十分だ。

 

『読まなくてもいい本」の読書案内』が優れているのは、5つのジャンルについて書かれているだけじゃなく、知の統合がざっくり理解できるところだ。
あとがきには、こう書かれている。

 

人文系の学者は、(当然のことながら)「人間力を鍛えるには教養が必要だ」と反論している。たしかにこの“複雑で残酷な世界”を生きていくためには知力だけではなく人間力も大事だろうが、彼らは根本的なところで間違ってる(あるいは、知っているのに黙っている)。それは、人文系の大学で教えている学問(哲学や心理学、社会学、法律学、経済学のことだ)のほとんどがもはや時代遅れになっている。

 

いやもう、ホントに。現実に対して有用じゃないから教養だとなるんだけど、教養は基礎体力じゃない。思考のトレーニングはそれなりに必要だと思うけれども、有用じゃない教育の仕組みって、なんだか村社会の掟、しきたりみたいになってる。現実とのギャップが大きくなればなるほど、宗教のような信仰になっている。知のビックバンが、それぞれの統合に向かうのだとすれば、いまハズレてると致命的だ。
この本は「高校生、大学生、若いビジネスパーソンのみなさん」向けなんだけど、橘玲さんには中年向けの知のガイドマップも書いて欲しいわ。

 

 Amazon - 「読まなくてもいい本」の読書案内

 

今日のBGM-407【 The Chemical Brothers - Wide Open ft. Beck 】

メイキングも面白い

The Making Of Wide Open

 

入っているのは昨年発売された

ケミカル・ブラザーズ『ボーン・イン・ザ・エコーズ』